40代50代の独立起業にも効果が 「コワーキングオフィス」を積極利用するメリット

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コワーキングオフィスの活用は、仕事観のみならず人生観にも大きな影響を与えてくれるかもしれません。ご自身の視野を広げたい、仕事をする環境を変えたいという方は、コワーキングオフィスで仕事をするという選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道局で社会部記者、経済部記者、CSニュース番組のプロデューサーなどを務める。ライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に幅広い視座からのオピニオンを関連企業に寄稿。
趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。
Twitter:@M6Sayaka

在宅ワークが長期化するなか、環境に飽きない工夫をしたいと考えるビジネスパーソンは多いことでしょう。外の空気を吸うためにカフェで仕事をしたり、通勤が不要になったスキマ時間を活かして習い事を始めたり、すでに工夫を始めている人もいるかもしれないですね。

そのなかで近年注目されているのが、他人とワークスペースを共有しながら仕事を行う「コワーキングオフィス」です。レンタルオフィスやシェアオフィスと同じようなものようにも感じられますが、少し違う特徴を持っています。

多様化する「フレキシブルオフィス」

在宅ワーカーやノマドワーカーのように、働く場所に大きな制約がない人たちが賃貸契約を結ぶことなく利用できるワークスペースは「フレキシブルオフィス」と呼ばれており、具体的には次のような種類があります。

  • レンタルオフィス
  • サービスオフィス
  • シェアオフィス
  • コワーキングオフィス

これらには法的に明確な線引きがあるわけではありませんが、付属するサービスに微妙な違いがあります。たとえば、サービスオフィスは、名前のとおり受付や郵送物転送といったサービスがついているところが多くあります。レンタルオフィスでは、占有スペースが持てるといった特徴があります。
このようにさまざまなフレキシブルオフィスがあるなか、「コワーキングオフィス」は次のような特徴や機能を持っています。

カフェのような感覚のフリーアドレス

占有スペースを提供するところもあるが、基本的には指定席は設けられていない

月あたりだけでなく「ドロップイン」利用が可能

1日だけ、あるいは数時間だけという単位で利用できる

共用の会議室などを設置

カフェなどでは話題にしづらい内容を話し合いたい、周囲の環境に気をとられたくないといった場合に利用できる

利用者同士のコミュニケーションを促すレイアウトやプログラム

イベントや勉強会、セミナーなどが開催されている

なお、世界中で不動産事業を展開するCBREは、コワーキングオフィスを下記のように定義しており、オフィスを利用する人たちの「横のつながり」を作ることに重点が置かれています。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

「異なる企業に属する者或いは個人同士が(中略)諸設備をシェアし」、「利用者同士のコミュニケーションを促進する(中略)仕組みがなされている」ワークスペース

(「利用者同士のコミュニケーションを促進する(中略)仕組み」とは、スペース内でのイベント開催スペース、利用者のスキルや業務分野がコミュニティ内で共有される仕組み(掲示版、専用SNSなど)、利用者のビジネスをマッチングさせるコミュニティマネージャーの存在、などを含む。)
引用:「コワーキングオフィス 新たな働き方のプラットフォーム」CBRE)

コワーキングの概念は、なぜ、どこで生まれた?

コワーキングオフィスの発祥には諸説ありますが、原型が誕生した場所として知られているのはサンフランシスコです。自宅での孤独な仕事環境のせいで成果が上げられない在宅ワーカーが集まって就業するスペースとして、2005年に開設したのが始まりと言われています。
こうした、健全な就業時間に基づく最適な仕事環境と人的交流の促進は、コロナ下で在宅ワークが長期化している日本のビジネスパーソンにも望まれていることでしょう。

以降、コワーキングオフィスはアメリカで急拡大しました。日本でも2010年以降、東京都内を中心にコワーキングオフィスの開設が急増しています。

CBRE資料「コワーキングオフィス 新たな働き方のプラットフォーム」の情報を基に作図

大企業一辺倒という価値観が変わり、ベンチャー企業の設立が加速していることも背景として考えられます。立派な社屋やオフィスがなくてもリーズナブルに利用できる空間、それもカフェやファミレスのように周囲の目が気になるわけでなく、Wi-Fiも完備されている場所さえあれば新しい事業を立ち上げられるという感覚です。さらには、良い仲間との出会いがあれば新しい発想やチャンスが生まれるベンチャー気質な場所として捉えることもできるでしょう。
40代50代の"ベテラン層"がこうした場所を利用する効果は大きいと考えます。

止まらぬ「令和の大リストラ」

東京商工リサーチ調査によると、2021年の上場企業の早期・希望退職者募集人数は6月3日に1万人に達し、2019年から3年連続で1万人を超えました(※1)。
赤字企業のリストラもありますが、若手社員のチャレンジに経営資源を振り向けるため、40代50代の社員に退職を促すという流れもあります。一方で「人生100年」と言われ、定年の廃止や引き上げが義務化されるなど雇用情勢はやや矛盾した状況にあります。

こうした時代を生き抜くためには、これまでのキャリアにこだわらない立場や環境で働いていける人材になる必要性があります。会社が惜しみなく投資する若手社員、低賃金で雇える外国人労働者、プロジェクト単位で案件を依頼できる副業者、フリーランスといった多様な人材が押し寄せている時代ですから、40代50代の立場は盤石と言い切れないのが現状です。

もしも早期退職や配置転換を持ちかけられたとしても、自分なりの新しい立ち位置や働き方を見つけるには、知識の蓄積が必要です。いつでも新しいことを立ち上げられる創造性や柔軟性が求められているとも言えます。その点、イベントなどを通じて外部の情報を得られ、違う業界の人との接触機会を多く持てるコワーキングオフィスは、新しい価値観を提供してくれたり、良い仲間との出会いの場になったりという特徴があります。副業のアイデアなども生まれるかもしれません。

また、コワーキングオフィスは地域振興の意味合いでも注目されています。地方のコワーキングオフィスでは、同業他社の人とディスカッションしたり、仲間と食事などを介してコミュニケーションを図ったりする場として活用する人も多くみられています。まさに使い方はアイデア次第と言えます。

リモートを前提にコワーキングオフィスから働き方を考え直す

コロナ禍をきっかけに浸透した在宅ワークですが、コロナが終息すれば、また誰しもがオフィスに集い仕事を行う体系に戻るのかというと、そうとも言い切れません。
在宅ワークやリモートワークのメリットを見いだしている人も多く、国土交通省の調査(※2)ではテレワーク実施者の約8割が「継続したい」という意向を示しています。

人口構成や雇用情勢、働き方が同時に大きく変化しているいま、在宅時間をこれまでのキャリアの積み方や働き方、立場のあり方といったものを根本から考え直す時間に充てることには意義があるでしょう。そのための情報収集の場として、アフターコロナのワークスタイルとして、コワーキングオフィスの活用は、仕事観のみならず人生観にも大きな影響を与えてくれるかもしれません。ご自身の視野を広げたい、仕事をする環境を変えたいという方は、コワーキングオフィスで仕事をするという選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。