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老後の選択肢のひとつ「グループホーム」 入居条件や費用、選び方のポイントを紹介します

夫婦・家族

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グループホームとは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る小規模な介護施設で、対応に慣れた職員が多数いるため、認知症の方が安全かつリラックスして暮らせる点が魅力といえるでしょう。メリットとデメリットをしっかり確認し、ご家族でよく話し合うことはもちろん、主治医やケアマネジャーとも相談しながら入居を検討していきましょう。

この記事の監修

渡辺 有美

独身時代は都市銀行に勤務し、その後、結婚と子育てを経て介護の道へ。介護福祉士としてデイサービス・特養・訪問介護の現場で10年以上働いた経験を活かし、高齢者の方々の役に立つ記事を多数執筆しています。

高齢者施設にはいくつかの種類があり、それぞれ性格が異なります。入居を検討する際は、まず施設ごとの特徴や費用をしっかり把握しておくことが大切です。

今回ご紹介するのは、認知症の方向けの介護施設「グループホーム」です。
いったいどのような施設なのか、その特徴や入居条件をくわしく説明するとともに、入居者にとってのメリットとデメリットをお伝えします。

グループホームとはどんな施設?

グループホームとは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る小規模な介護施設で、「認知症対応型共同生活介護」ともいいます。最大9人のグループ(ユニット)による家庭的な雰囲気のなか、自分の家にいるかのような感覚で生活できるのが特長です。

1事業所に1~2ユニットしかないため建物自体もこぢんまりとしており、最近では施設というよりも普通の住宅のような外観のグループホームも多くなっています。
部屋は原則「個室」で、ほかに共有スペースとして、リビング・食堂・キッチン・浴室・トイレなどの設備があります。

グループホームの数は年々増加傾向にあり、平成29年には全国で1万3,346施設(※1)を数えます。
地域における認知症対応施設として重要な役割を担っています。

グループホームの入居者は、ユニットごとに生活をします。食事・入浴・排泄・口腔ケアといった一般的な介護サービスに加え、レクリエーションや体操、機能訓練などのサービスを受けることができます。

ただ、グループホームは、身の回りのことをある程度自分でできる自立した方を対象としているため、洗濯や掃除などの家事を自分で行ったり、調理や片づけの手伝いを頼まれたりすることもあります。
職員ももちろん生活のサポートはしますが、入居者自身に積極的に家事に関わってもらうことで、本人の"できる力"を維持できるよう支えていくのがグループホームの姿勢です。

グループホームに入居するには

グループホームは、入居したい人が誰でも入居できるわけではなく、以下の「入居条件」を満たしている必要があります。

▼グループホームの入居条件

年齢

65歳以上

要介護度

要支援2、要介護1以上

認知症の有無

医師に認知症の診断を受けていること

居住地区

施設と同じ自治体に住民票があること

原則、認知症の方向けの施設であるため、認知症の診断を受けている方が対象です。また、おおむね自立していること、医療ケアが必要ないこと、他人と共同生活を送るのに差し障りがないことも重視されます。

気を付けなければならないのが、住民登録の有無です。グループホームは地域密着型サービスのため、その地区に住民登録をしてある方でないと入居できません。たとえば、遠くに住む親を呼び寄せて子どもの住む地域のグループホームに入居してもらうようなケースでは、親の住民登録が元の住所のままだと入居資格を得られません。たとえ住民票を移し替えても、自治体によってはすぐには入居させてもらえないケースもあります。
今後、グループホームへの入居を視野に入れている場合は、希望のグループホームがある市区町村に、できるだけ早めに親の住民票を移しておくのが望ましいでしょう。

入居に必要な費用

主に初期費用の「入居一時金」、毎月支払う「月額利用料」、介護保険の自己負担金がかかります。
入居一時金や月額利用料は施設によって金額が大幅に異なり、特に入居一時金は0円から何百万円もするところまで千差万別です。多くは100万円前後の施設が多いようですが、入居時にまとめて支払う必要があるため、無理のない範囲で施設を選ぶとよいでしょう。

月額利用料もまた、施設によってさまざまですが、おおよそ12~18万円が目安です(※2)。
月額利用料には、家賃・管理費・食費・水道光熱費などが含まれており、そのほかに入居者それぞれに発生する介護保険の自己負担金、通院費や理美容費などが必要になります。

▼グループホームの入居費用の目安

入居一時金

0円~数百万円

月額利用料

12万円~18万円

介護保険の自己負担金

利用した介護保険サービスの1割~3割

その他の費用

通院医療費、理美容費、おむつ代など

入居一時金や月額利用料は、施設の立地や設備が良くなるほど高くなる傾向にあります。また、介護保険の負担割合や要介護度によって介護サービス費の自己負担額も異なってきます。

グループホームは他の施設とどこが違う?

高齢者向けの介護施設にはほかにもいろいろな種類がありますが、それらとグループホームとでは、どのような違いあるのでしょうか。

公益社団法人日本認知症グループホーム協会が、行ったアンケートによると、自治体と事業所が「グループホームの特徴」として捉えていることの上位には、以下のような内容が挙がっています。

公益社団法人日本認知症グループホーム協会(厚生労働省HPより)「認知症グループホームを地域の認知症ケアの拠点 として活用するための調査研究事業報告書」P22の情報を基に作図

この結果をみると、ほかの施設に比べて、入居者の生活を重視していること、職員との距離が近いこと、何より認知症の方が安心して暮らせる環境であることがグループホームの特色といえるでしょう。

筆者もグループホームを訪れたことがありますが、非常にアットホームな環境で、時間がゆったりと流れているような雰囲気がとても印象的でした。認知症の方がほのぼのとした家庭的な環境で暮らすには、グループホームは最適な施設といえそうです。

ただ、グループホームは要介護度が高い方、医療対応が必要な方、看取りが必要な方への対応は難しいのが現状です。その場合には、要介護度が高くても受け入れてくれるほかの施設を探す必要があります。

改めて、グループホームに入居するメリットとデメリットをまとめました。

メリット

  • 少人数制のため静かで落ち着いた暮らしが送れる
  • アットホームで職員と入居者、入居者同士がコミュニケーションを取りやすい
  • 入居者も家事に参加するなど、自立した暮らしを送れるようサポートしてくれる
  • 少人数のため職員の目が届きやすい

デメリット

  • 入居可能な人数が少なく、入りたい施設に入居できるとは限らない
  • 医療ケアは基本的に受けられない
  • 要介護度が上がると退去勧告を受ける可能性がある

グループホームの選び方のポイント

ここでは、数あるグループホームのなかから入居施設をどのように決めればよいのか、選び方のポイントをお話しします。

立地や費用から候補を絞る

まずは、立地や費用などからある程度施設を絞り込みましょう。いったん入居すると費用は毎月発生するため、無理なく支払える価格帯の施設を選ぶことが大切です。また、家族が通いやすいようアクセス面もしっかりチェックしましょう。

施設を見学する

候補を絞ったら、必ず見学をしましょう。居室の広さや使いやすさ、施設の雰囲気、食事のメニュー、共有スペースの状況などは、本人の暮らしやすさに直結する大切なポイントです。これらは実際に施設を訪れて自分の目で確かめないことには、良し悪しを判断できません。資料やパンフレットの情報をうのみにせず、ご家族そろって足を運びましょう。

退去の条件や入居率などをチェック

グループホームは要介護度が高くなったり寝たきりになったりすると対応が難しくなり、退去を求められる場合があります。入居前に条件を必ず確認しましょう。
また、入居率や職員の定着率も、施設の経営状況を判断する重要なポイントです。安定した経営が行われているか判断するためにも、これらの情報が記載されている「重要事項説明書」は流し読みをせず、厳しい目でチェックしてください。

まとめ

グループホームは、まるで家庭にいるような、なごやかな雰囲気が特長の施設です。
認知症対応に慣れた職員が多数いるため、認知症の方が安全かつリラックスして暮らせる点が魅力といえるでしょう。ただ、グループホームにもデメリットが存在します。ご家族でよく話し合うことはもちろん、主治医やケアマネジャーとも相談しながら入居を検討していきましょう。

※1 厚生労働省「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況ー結果の概要【基本票編】」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service17/dl/kekka-gaiyou.pdf

※2 太田差恵子『高齢者施設 お金 選び方 入居の流れがわかる本』,翔泳社,2016,p.42-3.