介護のこれからを考える

終活なんてまだ早い? 両親に介護や終活を真剣に考えてもらう方法

夫婦・家族

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「終活」は終わりを良くするための準備、あるいは余生を充実させる活動と捉え、残りの人生をより自分らしく生きるための活動です。親に切り出しづらい、と考えている方は、「終活」に対する意識改革から始めてみましょう。

この記事の監修

遠藤愛

看護師として約13年間病院勤務。外科・内科病棟、地域連携室、介護老人保健施設、訪問看護に従事。現在は看護師の知識と経験を活かし、ライターとして活動中。

いまはまだ元気な両親も、いつかは病気や介護で子どもの支えが必要となる日がやってきます。「まだまだ先のこと」と思っていても、病気や事故、災害などで、いつ"そのとき"を迎えるかは誰にもわかりません。

「終活」は、その名が示すように『人生の終わりに向けた活動』のこと。人生の幕引きをどうするのか、残された人生をどう生きるのかを考え、準備をすることで、ご本人だけでなく残される人にも安心をもたらします。

今回は「子の立場から考える親の終活」をテーマに、親子で終活を行うメリットや、ご両親にさりげなく終活を促す方法について紹介します。「どうやって切り出せばいいかわからない」と悩んでいる方の参考になりますと幸いです。

親世代より若者のほうが終活に興味あり?!

自分の親が終活についてどのように考えているのか、気になりつつも直接聞く機会がない方は多いのではないでしょうか。

ここに非常に気になるデータがあります。終活について1,000人の男女にアンケート調査を行ったところ、「終活をする意向があるか」の問いに「ある」と答えたのは、全体の半数にも満たない結果だったのです。

楽天インサイト株式会社「終活に関する調査(2019年5月27日)」の情報を基に作図

さらに気になるのは、「分からない」と回答している人が最も多いことです。終活についてある程度の認識はあるものの、「どのようにすれば良いのか分からない」「するべきかどうか迷っている」と考える方が多いのではないでしょうか。

また、同じアンケート調査(※)で「終活をする意向が最も高いのは、30代」という結果も出ています。年代が高ければ終活に対する関心が高いわけではなく、むしろ若い世代のほうが終活に興味があるというのです。

30代といえば、ご両親は50〜70代くらいで健康問題や介護が気になり始める年代です。親に対して「いつまでも健康でいてほしい」と願う気持ちと、親がだんだん年老いていく姿を目の当たりにし、「いつまで元気でいられるのかわからない」と不安な気持ちが混在しはじめる年代だと言えます。

このように、終活は親世代だけの問題ではなく、いずれ親を見送る立場にある子ども世代の問題でもあるのです。

親と子が一緒に終活をするメリット

画像2 / photoAC 利用規約

終活は死を連想させるため、「親子の会話として話題にしづらい」という方が少なくありません。
親の老後が気になっているものの、「親を傷つけたくない」「親の人生に口出しすべきではない」と考えて、なかなか切り出せない方もいるのではないでしょうか。そこで、「終活がなぜ必要なのか」「親子で終活について話し合うメリットは何か」について考えてみたいと思います。ご両親へ終活を促す際も、終活の意義やメリットを理解してもらうことでスムーズに話が進むはずです。

親子が一緒に終活に取り組むメリットは、次の通りです。

  • お互いの気持ちを理解するきっかけになる
  • 残された人生について客観的に考える機会になる
  • やり残したこと・やっておきたいことに気づくことで、老後の生きがいにつながる
  • 老後の不安を共有することで、親子で対策を考えられる
  • 親の健康状態を知ることで、将来の介護に備えることができる
  • 親の体力が残っているうちに、子どもと一緒に身辺整理ができる
  • 資産・お墓などの現状を把握できる
  • 万が一のとき、家族が落ち着いて対応できる

まだまだありそうですが、ざっと考えただけでもこれだけのメリットがあります。
ご両親にとっては「人生の棚卸し」「残される家族が困らないよう備える」「より良い余生の過ごし方を考える」という意味があり、子の立場としては「現状把握」「老親のサポート」について考えるきっかけとなります。とくに資産やお墓関係については、どちらかが切り出さない限り話題に上ることはほとんどありません。ご両親が健康なうちに、しっかりと話し合っておきましょう。

そろそろ終活してほしい......親に切り出す方法と注意点

では、どのようにすればご両親の気持ちを傷つけることなく、「そろそろ終活を始めよう」と思ってもらえるのでしょうか? ここでは、親にさりげなく「終活」を切り出す方法や、伝える際の注意点について見ていきましょう。

日常の何気ない会話を大切にする

終活は非常にデリケートな話題であるため、いきなり本題に入るよりは、日常的な会話のなかから自然に終活の話題へと誘導するのがおすすめです。生活の様子や健康状態、かかりつけ医など、普段からご両親の生活や体調を気にかけながらコミュニケーションをとるようにしましょう。

老後の生活や健康についてひんぱんに話すことで、ご両親としては「気にかけてもらっている」という安心感が生まれ、いざ終活の話題を切り出す際も抵抗なく受け入れてもらえる可能性が高くなります。そして何より、日常的な会話でご自身の老後を意識することになるため、余生について自然と考えざるを得ない状況になるでしょう。

身近な人の介護体験を話題にしてみる

たとえば、親しい友人や会社の同僚などで親の介護をしている人がいれば、実際に聞いた介護体験や苦労を話してみるのも良いと思います。会話の流れで、「お父さんたちは、もし介護が必要になったらどうしてほしい?」と聞いてみるのはいかがでしょうか。身近な人の体験を聞くことで、「もし子どもに介護される立場になったら......」と自分に置き換えて考えるきっかけになるはずです。

「終活って知ってる?」とさり気なく聞いてみる

「終活が流行ってるけど、実際にどんなことするか知ってる?」など、ご両親が終活についてどのように考えているのか聞いてみましょう。「そろそろ終活してよ」と一方的に伝えるよりは、ご両親に回答する権利を与えることで抵抗感が薄らぎます。

終活に対する自分の思いを伝える

親がどう思っているのかを聞く前に、「自分は終活についてこう考えている」と伝えるのもひとつの方法です。

親の気持ちを尊重する

終活に対する親の思いと自分の考えが違っていたとしても、否定せず「そう考えているんだね」と受け入れることが大切です。

終活をタブー視しない! まずは普段のコミュニケーションから

終活は、どうしても「終わり(死)」の部分に着目しがちです。終わりを意識するあまり、終活をタブー視し「言い出しづらい」と感じてしまうのです。しかし、終わりを良くするための準備、あるいは余生を充実させる活動と捉えるとどうでしょうか? つまり、残りの人生をより自分らしく生きるための活動です。親に切り出しづらい、と考えている方は、「終活」に対する意識改革から始めてみましょう。

一方、終活はタブーではないと言っても、とてもデリケートな問題です。いきなり「終活」と言われても、受け入れられる人はほとんどいません。まずは親子で十分なコミュニケーションをとり、ご両親にとっての人生の楽しみや不安なこと、病気や介護に対する考えなど、終活に必要な情報を少しずつ集めていくことが大切です。

【出典元】

※楽天インサイト株式会社「終活に関する調査(2019年5月27日)」
https://insight.rakuten.co.jp/report/20190527/