70代の両親に旅行をプレゼント! プラン選びに外せないポイント

夫婦のこれから

どんな点に注意して70代の両親の旅行を選べばいいのか、考えてみましょう。

【監修】清水 沙矢香

「両親が元気なうちに、旅行をプレゼントしたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。とはいえ、あまりハードな旅行は避けたいですし、思わぬところで助けが必要になるかもしれません。本当の意味で喜んでもらえる旅行をプレゼントすることは、意外に難しいものです。
そこで今回は、どんな点に注意して70代の両親の旅行を選べばいいのか、考えてみましょう。

国内旅行が多い70代

ソニー生命株式会社による調査「シニアの生活意識調査 2018」によると、シニアの現在の楽しみは、ダントツで「旅行」。男女ともに高いスコアを打ち出しています。

ソニー生命調査「シニアの生活意識調査 2018」を基に作図

旅行に大きな関心を示す背景として、年齢が高くなるにつれ、経済的・時間的ゆとりが増え、生活全般への満足が高まる傾向にあることが挙げられます。特に女性は夫婦のみならず、友人一緒に旅行に出かける機会も多いようです。

体力の変化と旅行への意欲

シニア世代は時間に余裕があることに加え、「動けるうちに」という意識が強く、海外旅行にも意欲があると考えられます。
JTB総合研究所は、66歳~70歳を「団塊世代」、71歳~79歳を「キネマ世代」とカテゴライズし、その特徴を次のように示しています。

JTB総合研究所「シニアとライフスタイルと旅行に関する調査 2016年」表1世代の特徴を基に作図

なお、「シニアとライフスタイルと旅行に関する調査(2016年)」によると、シニア世代が今後行ってみたい旅行先の1位は「全く新しい場所や、今まで行ったことがない場所に行く旅行」。キネマ世代、団塊世代ともに半数以上がそう答えています。
このほか、「好きな場所や思い入れが強い場所を繰り返し訪れる旅行」「過去に自分が住んでいた場所や思い出の場所を巡る旅行」「湯治や健診など、健康づくりの旅行」も希望としてあがっています。

その一方で、70代は体力も変化し始める年代でもあり、過去に大きな病気を経験していたり、慢性的な疾患で通院をしていたりする人が増える世代でもあります。こうした身体的な事情もあり、事前に何かを調べたり、計画したりするのが億劫になるという傾向もあるようです。

JTB総合研究所「シニアのライフスタイルと旅行に関する調査 2016.3.31」(図 19) 楽しさ・体調グラフを基に作図

上記のグラフによると、積極的に旅行を楽しむ意欲は、年齢とともに気力・体力が衰えるにつれ減退しますが、「誰かが計画を立ててくれるなら行きたい」という気持ちは強いと分析してよいでしょう。ですから、現地で物事の判断を求められるものではなく、あらかじめ行程が決まっているパックツアーであれば、気軽に楽しんでもらえそうですね。ガイドがつくツアーなら、なおさら安心して出かけられます。

また、国内旅行であればさまざまな体験オプションもありますので、趣味や好み、体力に応じて選ぶのも良いでしょう。大河ドラマが好きな両親であれば、ゆかりの地を訪ねる旅行を贈るのも良いかもしれません。

外してはいけない注意点

しかし、良かれと思ってのプレゼントとはいえ、不便さや負担があってはいけません。また、自分たちと親世代では、感覚が違うということを認識しておくことが必要です。
たとえば、体力面です。長距離の移動や乗り換えが多い行き先は億劫に感じるでしょう。また、自分たちにとってあまり苦にならない距離でも、その感覚には世代差もあるでしょうから長時間歩くことが必要になる場所が向かないこともあります。足場の悪いところや急な坂があるところなどは距離に関係なく疲れを感じてしまうかもしれません。

実際、楽天トラベルと三菱UFJリサーチ&コンサルティングの共同調査では、60代、70代が抱える国内旅行の不安として「長時間の移動」「健康上の理由」「体力に自信がない」が挙がっています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ニュースリリース『2015年シニア層の国内旅行に関する意識調査』」図4を基に作図

食事や宿泊先にも配慮が必要です。量が多いものや濃い味を好まなくなる年齢でもあり、入れ歯を使っている人によっては食べづらいものも出てきます。そして親世代は、「楽であること」が優先になりますから、困りごとがあった時に、幅広く対応できる宿泊施設が良いでしょう。おしゃれな宿を選ぶよりかは、安心できる比較的規模の大きい"ベタ"な宿泊施設が好まれそうです。浴室への配慮を中心に、バリアフリー仕様かどうかも確認したいポイントです。

全体的にゆったりとした計画を立てることも大切です。
合間にゆっくり座ってお茶を飲むような時間は、ぜひ用意したいところです。また、遅い時間まで外を巡るような予定だと「移動ばかりで疲れた」という印象しか残らなくなってしまいます。子ども世代が思うよりも親世代は体力や足腰に限界があることを意識し、あれもこれもと欲張るのではなく、訪問先を絞ったものが良いでしょう。

ちなみに、シニア人気の宿泊施設は、「温泉旅館」がダントツです。「リゾートホテル」「高級旅館」も人気ですね。日常から離れてゆっくりしたい、リフレッシュしたい、いつもよりぜいたくを楽しみたい。そんな思いを持つのは、世代問わず案外同じなのかもしれません。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ニュースリリース『2015年シニア層の国内旅行に関する意識調査』」図5を基に作図

まとめ

これまでの話をまとめてみましょう。
親世代に贈る旅行のポイントは次のとおりです。

  • 自分たちと同じ感覚で選ばない
  • 事前に行動予定が決まっているほうが良い
  • 現地までの移動手段を複雑にしない
  • 長時間歩く、急な坂や足場の悪い場所を歩く旅は避ける
  • 行動予定はゆったりと
  • 遅い時間まで観光地を巡るような計画を立てない
  • 食事は少量でも質の良いものを
  • 宿泊施設は規模が大きく、バリアフリー対応をチョイス

これらを見ると、ある程度の規模の温泉旅館やリゾートホテルを拠点に近場の自然観光や史跡めぐりをプランニングすると喜ばれそうですね。現地の観光タクシーを手配し、観光スポットを楽に効率よく回れるようにしてあげるのも良いでしょう。

また、プレゼントですのでサプライズのような形にしたいと考える人もいるかもしれませんが、基本的には両親が行きたいところを聞き、あくまでもプランニング側に回るのがベストです。なかには、電車に乗ることを楽しみにしていたり、登山旅行を趣味にしていたりする方もいるかもしれません。体力自慢のご両親なら、海外も候補に入るでしょう。

行けるのなら行ってみたい場所が明確ならば、ぜひ旅行プランを話し合ってみましょう。
ご両親が安心して出かけられ、思い出に残る旅をプレゼントできるといいですね。

監修

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、大手放送局に主に記者として勤務。2017年退職後、Webライターとして、経済を中心とした取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。
趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。