認知症予防のナンバーワン対策? 50代から始める社交ダンスの魅力

夫婦のこれから

認知症予防に有効な趣味として注目されているもののひとつ、社交ダンスをご紹介します。

【監修】清水 沙矢香

認知症の予防方法というと、適度な運動、食生活の見直し、脳トレ......など、生活の基本的な改善方法がたくさん挙げられています。適度にからだや頭を動かし続けることは重要ですが、実際には何をするのが効果的なのでしょう。

そこで今回は、認知症予防に有効な趣味として注目されているもののひとつ、社交ダンスをご紹介します。

5人にひとりが認知症になる時代に

平成29年の「高齢社会白書」によると、認知症の高齢者数は増加傾向にあると言われています。 2012 (平成24)年の認知症高齢者数は462万人。これは65歳以上の約7人にひとりの割合ですが、2025年(令和7)年には約5人にひとりになるとも言われています。

内閣府「平成29年版高齢社会白書(概要版)」を基に作図

認知症のさまざまな症状は、脳の認知機能の低下から起こるものです。五感を通じて外部から入ってくる情報に対して適切な状況認識や対応ができなくなり、日常生活に支障をきたす状態です。そのため、からだや脳に刺激を与え続けることで認知機能が低下しないようにしましょう、というのが一般的に認知症予防として言われていることです。推奨されているのは、脳トレや体操といった軽度の運動です。

認知症予防に関する医学的研究

ウォーキング、音楽、パズルなど、認知症予防のために推奨される趣味はさまざまです。その中で、どれがもっとも有効なのかを示した有名な医学論文があります。

米国アルバートアインシュタイン医大が2003年に医学誌で発表したもので、スポーツ、ウォーキング、読書、楽器演奏などを趣味にする75歳以上の被験者をグループ分けし、平均して5年間の状況を追跡しています。その結果、認知症を発症する確率が少なかった趣味は、以下の結果になったと報告しています。

ダンス(主に社交ダンス) 0.24倍
ボードゲーム(チェスなど) 0.26倍
楽器演奏 0.31倍
クロスワードパズル 0.59倍
読書 0.65倍

上記の結果を基に、認知症リスクの低い活動の共通点を探ってみましょう。
上位に挙がったすべては、高い集中力を必要とする趣味ですが、なかでも「ダンス」や「ボードゲーム」「楽器演奏」は、状況認識と判断、行動を同時に行うものです。音楽に合わせてからだを動かす、譜面のとおりに演奏する、相手の出方を見て駒を動かす、のように頭とからだをうまく連動させる複雑な思考回路を必要としています。

社交ダンスの最大の特徴

さて、ここからは認知症になる確率が最も低いという結果の出た、社交ダンスの特徴を挙げていきます。

社交ダンスは、音楽をしっかり聴き、それに合った振り付けで踊る全身運動です。また、相手もいますから2人で息を合わせなければなりません。いわば、五感から同時に発信される情報が非常に多いスポーツなのです。
また、社交ダンスには、「人の肌に触れる」という特徴があります。手と手の触れ合いは、不安やストレスを軽減してくれます。また、異性を相手にするという意識が働くことで脳の活性化に繋がる効果も期待できます。
そして、身体的には姿勢を正し、かつ足腰や関節、体幹の力を必要とするため、筋力や体力もついていきますし、日頃から姿勢が良くなり、からだの使い方も健康的なものになると考えられます。

これら以外にも、発表会など定期的に人前で踊る機会があります。誰かに見られることは良い緊張感と刺激を生み出すでしょうし、女性にとっては特に衣装を選ぶ楽しみもあります。
おしゃれへの意識をはじめ、美意識が日常的に高まりますので、日々にハリが生まれ、大きな刺激になることでしょう。

同時に多くの感覚を刺激する心がけ

認知機能の低下を防止するには、ひたすら手を動かすだけではなく、外部から受ける多くの情報を統合し対応する能力や、からだを反応させ、複数の部位を同時に動かすことが有効な手立てになるといえるでしょう。特に習い事などレッスンとして受けるとなると、感覚でからだを動かすというよりも、新しい情報を基にメロディや振付を覚え、全身で表現し続けなければなりません。
社交ダンスは、基礎体力を必要としますので、からだがしっかり動くうちに始め、その楽しさを早い段階から知れば、老後も長く心身の健康を維持する習慣として続けられるでしょう。

近年では、こうした社交ダンスの健康面を訴求するダンススタジオも増えています。少しでも興味のある方は、まずは見学目的だけでも、スタジオを訪れてみる価値はありそうです。

監修

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、大手放送局に主に記者として勤務。2017年退職後、Webライターとして、経済を中心とした取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。
趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。