「実家の片付け」4

夫婦のこれから

実家の片付けをスムーズに進める“片付けの法則”があります

【執筆・監修】渡部亜矢(わたなべあや)

実家の片付けは1日でできることではありません。家の大きさにもよりますが、月に数回、数か月~何年もかかるような長期戦になります。親の体力や気力も変化していきます。
だからできるだけ効率的に片付けたい、と思うところです。そして、せっかく片付けたのなら、できるだけ長くその状態をキープして、親に安全に暮らしてもらえることが一番。
そこで、片付けのコツを実家片づけアドバイザーの渡部亜矢さんにうかがいました。

上手に片付け、リバウンドしないためのコツがあります

実家の片付けは大仕事です。一度に全部を済ませようとせず、1回につき2、3時間ずつ、今日はどこをやるか場所を決めて少しずつ進めましょう。
庭などアウトソーシングしやすいところは、プロに任せるのもひとつの方法です。なぜならシニア世代には、プロのやることには口出しをしない人が多いから。
円滑に、そしてリバウンドしないように片付けるには、いくつかのワザがあります。きれいに片付けようとしすぎなくてもよいので、次のワザを試して親にとって暮らしやすい空間をつくってください。

すぐケンカになってしまう! ⇒ 「親の考えを否定しない」

親子なのでお互いついつい言いすぎて、片付けの過程でケンカになることはよくあることです。それを回避するのは、親の考えを尊重すること。
たとえば不要な物を「これはお父さんとの旅行の思い出だから捨てたくない」と親が言ったとします。「でも、こんなガラクタいらないよ!」と言えば、ケンカになってしまいますよね。ここはグッと我慢をし、「わかった、捨てないでおこう。でもつまずくと危ないから、ほかの場所に移動させてもいいかな?」と親の考えを受け入れ、親の許可を得るようにしてください。"親との会話では「でも」「だけど」は使わない "、転倒などの原因にならない危険なしまい方でなければ "何をどうするかは親に決めてもらう"ことが大切です。

いるもの・いらないものはどれ? ⇒ 「"3"の法則」

3の法則とは、すべて物を「いる」「いらない」「一時保管」の3つに仕分けすること。いるもの、いらないものはすぐにわかります。困ってしまうのは、どちらかわからないもの。子どもから見て「不要でしょう」と思っても、親が迷っていたら無断で捨ててはいけません。親がいるかいらないかを3秒以上迷ったら一時保管に分類し、段ボール箱など"一時保管箱"をつくってまとめておきましょう。
親が迷うのは、思い出があったり、まだ使えるかもと思ったりするものです。3カ月、半年など一時保管する期間を決めて、納戸や子ども部屋など、目につきにくい場所に置いておきましょう。目につく場所に置いておくと、子どもが帰った後に「やっぱりあれ必要かも!」と、開封してしまうことがあるので注意してください。
ある程度期間が経っても開封することがなければ、それは不要なもの。捨ててよいか親に相談しましょう。

お母さん、あの棚に手が届かないよね? ⇒ 「両手の法則」

人は、基本的に手の届く範囲にあるものしか使いません。脚立に乗らないと届かないキッチンの上の収納スペースに普段使いのものをしまったりしないですよね?
親に両腕を伸ばしてぐるりと回してもらいましょう。それが親の手の届く範囲なので、必要なものはその範囲にある収納スペースへ。
手の届かない場所の収納は空でもよいですし、そこを一時保管場所にするのもいいでしょう。

テーブルの上が大惨事! ⇒ 「わく枠大作戦」

テーブルの上に郵便物や新聞が積み重なっていたり、引き出しの中に飲み残した薬がギュウギュウに詰まっていたりしていませんか?そんな場合は「〇〇ケース」を作っておくと便利です。
家に余っている空き箱やプラスチックケース、100円ショップで買える箱でOKです。「封筒ケース」「お薬ケース」「リモコンケース」「文房具ケース」など箱ごとに分類して、机上に散らかっているものを入れてしまいましょう。箱の中は整頓しなくても大丈夫。とりあえず箱に入れておけば、テーブルの上はそれなりにスッキリし、探し物があるときも手間が省けます。

普段使っているものはどれ? ⇒ 「時系列にする」

収納するとき、よく使うものは手前にしまうことが多くありませんか? 引き出しは開けると奥が見えないから、奥にあるものは使わない不要な物であることが多いのです。洋服やキッチン用品などは、よく使うものを手前にして、目線のあたりの高さに置くとよいでしょう。簡単な収納法にすることで使い勝手を良くしましょう。
また、タンスの引き出しの奥にはたくさんの不要物があるにもかかわらず、タンスの前にパイプハンガーを置き、普段着るものをかけてしまう人も多くいます。パイプハンガーは防災面でも危ないので、捨てることを目指して片付けましょう。

座布団20個もいらないよね? ⇒ 「来客数をチェックする」

「昔はお正月に何十人もの親族が家に集まったのよ」と言って、その人数分の食器類、布団や座布団などをそのまま保管している方がいらっしゃいます。でもいまが2人暮らしなら、いずれもそんなに多くは必要ありません。年末年始に来るお客様の人数が最大だと考えて、それ以上の数のものは処分するようにしましょう。

あれ? この前捨てたはず... ⇒ 「ゴミ出しまでやる」

片付けた後、大量のゴミを袋にまとめて「ゴミの日に捨てておいてね」と帰ってしまってはいけません。たくさんのゴミを親が自分で捨てるのはとても労力がいることです。そして、収集日までに間があると、物が減ったことに不安を覚えてついついゴミ袋を開けて元の場所に戻してしまう方がたくさんいらっしゃいます。
"ゴミを出すまでが実家の片付け"だと心得て、事前にゴミ収集日を調べてそれに合わせて行いましょう。

棚から洗剤がたくさん出てきた! ⇒ 「買いすぎを防ぐ」

祖父母や子どもと一緒に暮らして7人家族だった人が夫婦2人になっても、当時のままの買い物の量を続けていたり、まとめて買ったほうが安いからとひとり暮らしなのに多く買ってしまったり......と、ストック品がたくさん出てくることがあります。
「ネットだと安く買えるから私に言ってね」と、上手に買いすぎを防ぎましょう。

補聴器がない! ⇒ 「緊急時に入手できないものをまとめる」

防災意識が高まって、水や食料などを買い置きしているという方は多いでしょう。でも、いざ避難生活をすることを想像してみてください。避難先では食料などの支給はあるかもしれませんが、メガネや薬などがなかなか手に入らないことがあります。それらがないと生活に支障をきたす方も多いので、メガネ、補聴器、薬またはお薬手帳などは普段からひとまとめに置いておくことをおすすめします。そうすることで、もしもの時にすぐに持ち出すことができます。

執筆・監修

渡部亜矢(わたなべあや)

(一社)実家片づけ整理協会 代表理事  実家片づけアドバイザー® 片づけ講師

少子高齢化社会に特化した「実家片づけアドバイザー®」認定講座、人生100年ライフの片づけ整理術、親子で取り組む生前整理、出張片付けサービスなどを展開し、雑誌やテレビ、ラジオでも活躍。遺品整理士の資格も持つ。2019年には、片付けに悩む人々をつなげるサロン「自宅と実家のオンラインサロン」開設。著書に「カツオが磯野家を片づける日~後悔しない「親の家」片づけ入門~」(SBクリエイティブ)、「「5つの鉄則」でラクラク!実家の片づけパーフェクトBOOK」(光文社)など多数。

(一社)実家片づけ整理協会