大成功!実家の片付け 第3回

実家の片付けを成功させるには、片付ける順番があります

夫婦のこれから

自分の家の片付けと実家の片付けとでは、目指すゴールが違います。片付けはどのように進めたらよいのかを、実家片づけアドバイザーの渡部亜矢さんにうかがいました。

【執筆・監修】渡部亜矢(わたなべあや)

自分の家の片付けをする場合、どのような家にしようと思いますか?
掃除はもちろんのこと不用品を処分したり、家具の配置を変えるなどして模様替えまでしてみたり......。"キレイで素敵な家"を目指したいと思いますよね。
しかし、自分の家の片付けと実家の片付けとでは、目指すゴールが違います。
実家の片付けで目指すべきは「親が安心して安全に、健康に暮らせる家」だと、実家片づけアドバイザーの渡部亜矢さんは言います。
どうしてゴールが違うのか、片付けはどのように進めたらよいのかを、渡部亜矢さんにうかがいました。

子の家と親の家、片付けのゴールが違います。

実家の片付けは、自分の家と同様に進めると失敗します。なぜなら実家の主は子どもではなく、親だからです。
自分の家を片付ける場合は、家具の配置も日用品の置き場も自分次第。不要な物をどんどん捨ててもだれも文句は言いません。しかし、実家で暮らすのは子ではなく親。無理に物を捨てようとしてケンカになったり、家具を勝手に移動させることで親にとって使いにくい空間になったりしてしまいます。年老いた親が"暮らしやすい空間"を作るために片付けるのだということを忘れてはいけません。

そして大切なのが、親にとって"安全で健康に暮らせる家"であること。
床の上にいろいろなものが置いてあると、それにつまずいて転倒するリスクが高まります。

現在、65歳以上の人口は約3,500万人います。消費者庁が発表した資料によると(※1)、交通事故や自然災害をのぞく不慮の事故によって死亡する高齢者の主な死因の2位が「転倒・転落」。そして、事故種別ごとの高齢者の救急搬送者数のうち約8割が「転倒・転落」によるもので、そのうち約6割が「住宅等居住場所」で起きています。
転倒することで骨折し、介護が必要になる人も多くいらっしゃいます。

※消費者庁「高齢者の事故の状況について -「人口動態調査」調査票情報及び「救急搬送データ」分析」-(2018年9月12日)」内のグラフを基に作図

このように転倒が命を脅かす事故につながる恐れがあるのです。また、家が片付いていないと、地震や火災などの災害時に逃げる際の障害物になることも考えられます。

親が安全に暮らすための片付け順とは?

このように安全・防災の視点で考えた時、実家で片付ける順は「動線⇒親がよくいる場所⇒親の思い入れのあるもの」で行うことをおすすめします。

まずは停電になっても寝室からトイレ、玄関、お風呂などへ行けるように動線上をキレイにしましょう。次はリビングや寝室など滞在時間が長い部屋を片付けます。
玄関、洗面所やお風呂、トイレなどは思い入れのない場所なので片付けが進みやすいです。特にお風呂や脱衣所は介護が必要になった時に人の出入りが増えるため、不要な物はよけておいたほうが良いでしょう。

実家の片付け「5つの鉄則」

"安全な家"を目指すときに失敗しないための「5つの鉄則」があります。ぜひ覚えて実践し、片付けを成功させてください。

1.片付けは"下から上へ"行う

実家の片付けは親が安全に暮らす家を目指します。先にもあげたように転倒のリスクを回避するため、片付けは"下=足元(床面)"から行います。
まずは歩くときにじゃまになるものを片付け、その後、タンスの上に載せてある段ボール箱など、地震などで落ちてきたら危ない"上=頭上"を片付けます。

2.出ている物を片づける

テーブルやキッチンに出ている薬などのこまごました物、玄関口に停めてある乗らない自転車、床置きにされた買い物袋や洋服など......まずは出ている物から片付けることで見た目をスッキリさせましょう。

3.収納ワザを使わない

書籍や雑誌、テレビなどではさまざまな収納ワザが紹介されています。しかし、新しい収納ワザは親にとっては覚えるのが面倒なだけです。収納ワザを使わなくても片付くようにすることが大切です。

4.生活習慣を優先する

親にはこれまでの暮らしのなかでできた生活習慣があります。その生活習慣を優先してください。たとえば、「フライパンの置き場が背面にあるのは取りづらいだろう」と子どもが考えて置き場をシンクの下に移動したとします。しかし数十年の使い勝手が身についている親にとっては、それは逆に使いづらいキッチンになってしまい、元の場所に戻すなど必ずリバウンドしてしまいます。親の生活習慣を変えようとしないことが肝要です。ただし、その生活習慣が親の安全に反する場合は、安全性を優先してください。

5.押し入れ・納戸・タンスなど収納スペースは後回しにする

収納スペースの中が乱れていても、物がたくさん詰まっていても、それがすぐに危険につながるわけではありません。タンスなど収納スペースに収まっているものから片付けようとすると、終わりが見えなくなってしまうので、いさぎよく後回しにしましょう。部屋が安全になったら、写真や思い出の品などを整理してお気に入りを飾るとよいでしょう。

以上をふまえ、実家の片付けは、まずは動線上であり親の思い入れの少ない玄関や廊下、低いところから高いところへ、そして居住スペース、クローゼット、最後に貴重品へと親の思い入れが強いものへと進めましょう。

実家の片づけ順

  1. 外玄関・庭・内玄関
  2. 廊下、階段、トイレ
  3. 低いところ(各部屋の床)
  4. 高いところ(食器棚やタンスの上など)
  5. 健康に関するもの
  6. キッチン
  7. リビング
  8. 寝室
  9. クローゼット、押し入れ、納戸
  10. 書斎・趣味の部屋・物
  11. 書類・貴重品
  12. 思い出の品

執筆・監修

渡部亜矢(わたなべあや)

(一社)実家片づけ整理協会 代表理事  実家片づけアドバイザー® 片づけ講師

少子高齢化社会に特化した「実家片づけアドバイザー®」認定講座、人生100年ライフの片づけ整理術、親子で取り組む生前整理、出張片付けサービスなどを展開し、雑誌やテレビ、ラジオでも活躍。遺品整理士の資格も持つ。
2019年には、片付けに悩む人々をつなげるサロン「自宅と実家のオンラインサロン」開設。
著書に「カツオが磯野家を片づける日~後悔しない「親の家」片づけ入門~」(SBクリエイティブ)、「「5つの鉄則」でラクラク!実家の片づけパーフェクトBOOK」(光文社)など多数。
(一社)実家片づけ整理協会