糖尿病専門医に聞いた!知っておきたい体と食事のこと

高血圧予防にも!減塩には「お酢」を使いましょう

身体のこれから

年齢が変化すれば、体の状態もそれに合わせて変化していきます。調理の仕方を変えたり、食が進みやすいものにするなど、ご自身にあった方法を工夫してみてください。

【監修】鈴木吉彦医学博士

お酢は、健康に良いとして取り上げられることの多い調味料です。ダイエットにも効果があると言われることが多く、お酢ダイエットをしたことがある、という方もいらっしゃるかもしれません。お酢が健康に良いって本当なのでしょうか?

「塩をお酢の代わりに使うと、高血圧などに効果的です」と話すのは、糖尿病専門医であるHDCアトラスクリニック院長の鈴木吉彦先生です。今回は、お酢の健康面に対する効果について伺いました。

塩分、とりすぎていませんか?

塩分のとり過ぎは、高血圧の原因として広く知られています。「血圧が高めだから塩分を控えて」と医師に言われたことがある方もいるのではないでしょうか。

食塩に含まれるナトリウムは、体の水分調節などに必要な栄養素です。適正な量の摂取であれば問題ありませんが、とり過ぎると体内の濃度を元に戻そうとして、体が水分を欲します。そして水分を多量にとると、血管内の水分量も増えるため、血圧が上がると言われています。

実際に、日本を含む世界各地で行った調査によると、食塩の摂取量が多い地域ほど、高血圧の人が多いことがわかりました。高血圧の人に塩分制限を行うと、血圧が下がったという研究結果もあり、またそのなかには複数の降圧薬が効かなかった人が、塩分制限で血圧を下げることができた、という報告もあります。

日本人の塩分摂取量は、減ってきているものの依然として多い傾向にあります。国内では摂取目標を男性は1日あたり8g未満、女性は7g未満と定めていますが、大きく上回っている人はまだまだ多いのが現状です。普段の食事を振り返ってみて、「味が濃いかも」「食塩をよく使う」という自覚のある方は、塩分を減らすように心がけたほうが良いかもしれません。
しかし、塩分を減らすといっても簡単ではありません。たとえば、小さじ1の塩には6gの塩分、醤油には0.8g、中華だしには2gというばらつきがあり、ぱっと見るだけではどのくらいの塩分を摂取しているかわかりづらいものです。塩分量は調味料だけに含まれるものではなく、食品にも含まれています。食品の場合、塩鮭には一切れ5g、梅干し1個には3gも含まれますから、和食の献立1食分で一日の摂取目安を軽々とオーバーしている可能性が否めません。

塩をお酢に替えると高血圧が治る?

塩分を減らすと血圧が下がりやすくなることはわかりました。しかし、塩分を減らすと食事が味気なくなるから気が進まない、という方もいるでしょう。濃い味付けに慣れていると、薄味の食事に慣れるのは大変かもしれません。

そこで活用したいのが、お酢、ねぎや生姜、しそ、ハーブなどの香味野菜、香辛料などです。これらは塩分を含まない上、いつもと違った風味が出るので、味にバリエーションを出すことができます。

中でもおすすめなのが、お酢です。高血圧の方を対象に行われた検証では、毎日お酢を摂取すると、摂取していない人に比べて血圧が下がった、という結果が出ていました。食塩相当の味の強さもあるとのことで、減塩による食事の物足りなさを解決してくれそうです。

酸っぱさが苦手という方は、ほかの調味料と一緒に使えば、あまり気にならなくなります。油っこいものもさっぱりと仕上げることができるので、肉類などはかえって食べやすくなるかもしれません。お酢の味に慣れていない方は、酢醤油(酢に醤油を加えたもの)などちょっとしたものから置き換えてみてはいかがでしょうか。

なぜお酢がもてはやされるのか

テレビや雑誌などで、お酢は体に良いと度々話題になります。ダイエットに良い、という話も聞きますし、黒酢のサプリメントが売られていたりもします。

その理由は、お酢にはいろいろな効果があると言われているから。お酢が持っている効果には、以下のようなものが挙げられます。

消化促進、便秘改善

お酢には胃酸の分泌を促す作用があり、それによって胃や腸の蠕動(ぜんどう)運動(食べ物を移送するために消化器が収縮波を生む)が活発になると言われています。そのため、食べ物を消化しやすくなり、便通も良くなると考えられます。

疲労回復

ヒトは疲れているとき体に乳酸が溜まりますが、この乳酸を分解する作用がお酢にはあると言われています。

肥満、糖尿病の予防

お酢を摂取すると、血糖値が上がりにくくなったり、体重増加が抑えられたりといった結果を伝える研究結果もあります。特に黒酢は、この効果が大きくなる傾向があるようです。

血中アルコール濃度の上昇を遅らせる

アルコールを飲む前にお酢を摂取すると、血液中のアルコール濃度が高くなりにくいという研究結果もあります。お酢を使った料理を食べると酔いにくいというのは、このためではないかと考えられます。

がんを抑える

黒酢には、大腸がんなどいくつかのがんを小さくする効果がある、という研究結果がいくつかあります。

こうした体に良いとされる効果がいくつもあるため、お酢は「体に良いもの」として取り上げられているのです。

お酢を効果的に取り入れる方法

体に良い効果がいくつもあると言われているお酢ですが、ゴクゴクと多量に飲めば良いというわけではありません。お酢は酸性なので、そのまま飲むと食道などを痛めてしまうかもしれないので、注意が必要です。1日15〜30mlを目安にして、料理の際に調味料として取り入れると良いでしょう。

砂糖・醤油と合わせて和え物にしたり、オリーブオイルと塩こしょうを混ぜてドレッシングにしたりすると、手軽に取り入れられます。砂糖・塩を少し入れて、野菜をつけておくとピクルスにもなります。常備菜として作っておくと、箸休めにもなるのでおすすめです。煮物に使うと、さっぱりした味わいで酸っぱさも緩和されるので、食べやすくなります。

お酢はいろいろな料理に取り入れることができますので、好きなレシピやよく食べる食材などと合わせてみてはいかがでしょうか。

健康づくりにお酢を活用しよう

お酢は、さまざまな効果が期待できる調味料です。毎日の食事の中に意識して取り入れることで、健康管理に役立つかもしれません。特に高血圧の方は、塩分の代用品として積極的に使ってみると良いでしょう。

ただし、お酢は薬ではなく、あくまで調味料のうちの一つですので、必ずしも効果があるとは限りません。健康づくりをサポートするもののひとつとして、うまく活用していきましょう。

監修

鈴木吉彦医学博士

慶応大学医学部卒。元、日本医科大学客員教授。現、HDCアトラスクリニック院長。

糖尿病外来と併行し、自由診療としての肥満治療外来を立ち上げる。