糖尿病専門医に聞いた!知っておきたい体と食事のこと

いつまでも元気でいたい!毎日の調理方法を見直してみましょう

身体のこれから

年齢が変化すれば、体の状態もそれに合わせて変化していきます。調理の仕方を変えたり、食が進みやすいものにするなど、ご自身にあった方法を工夫してみてください。

【監修】鈴木吉彦医学博士

年齢を重ねても元気でいきいきとした生活を送るためには、健康管理がとても大事です。いろいろと気をつかうべきところはありますが、中でも食事は毎日のことなので、日頃の意識が重要になります。しっかり食べられていればそれで良いのでは? と思われるかもしれませんが、歳を重ねると調理方法にも工夫が必要なのだそうです。

今回は、糖尿病専門医であるHDCアトラスクリニック院長の鈴木吉彦先生に、50代以降の普段の食事で実践したい調理方法について伺いました。

50歳から始める調理方法の工夫

年齢が変化すれば、体の状態もそれに合わせて変化していきます。今は若い頃と同じように食べられていたとしても、胃がもたれやすくなったり、あまり量が食べられなかったりと、変わったように感じている方も多いのではないでしょうか。脂っこいものは避けている、食欲が落ちてきた、という方もいるかもしれませんね。

しかし、食事の内容が偏ったり、必要以上に量が減ったりすると、栄養やエネルギーが足りなくなってしまうことがあります。それを避けるため、調理方法を工夫して食べやすくすることが大事なのです。

調理のポイント① 野菜は火を通す

ビタミンやミネラルなど、豊富な栄養素を含んだ野菜類は、できれば多く食べたいところです。しかし、生野菜をたくさん食べるのは大変です。満腹になってしまって、多くは食べられないでしょう。

野菜なら、ゆでたり炒めたりすれば、かさが減って食べやすくなります。生の状態よりもたくさん食べられるので、おすすめです。

調理のポイント② 油分が多すぎる食材はゆでる

肉類など脂分が気になるときは、ゆでると食べやすくなります。例えば、豚肉は冷しゃぶやゆで豚などにするとさっぱりといただくことができます。

調理のポイント③ いろいろな味付けを取り入れてみる

毎日似たような味付けばかりだと、飽きてしまって食欲が落ちやすくなります。洋風や和風、中華風など、いろいろな料理方法を試してみましょう。酢やねぎや生姜、しそ、ハーブなの香味野菜、香辛料などを取り入れてみるのもおすすめです。

調理のポイント④ 丼ものや麺類を取り入れる

丼ものや麺類は、比較的食が進みやすい食事です。ご飯や麺などの主食とおかずが一緒に食べられるので、量もとりやすいしお腹もいっぱいになります。野菜を一緒に煮込んだり、いろいろな付け合わせを少しずつ添えてみたりと、少しの工夫で飽きにくいのも良いところです。

調理のポイント⑤ ちょい足し食材を活用する

「あまり量が食べられない」「調理するのが大変」という方もいるかもしれません。そんな方は、ちょい足し食材を取り入れてみましょう。ご飯にシラスやかつお節、のりなどを乗せたり、食パンにチーズを乗せたりオリーブオイルをかけたりと、少しのアレンジで栄養もカロリーもプラスになります。意識して足すようにすると、より多くの栄養を取り入れることができます。

調理のポイント⑥ 間食を取り入れてみる

どうしても1食当たりの量が多くとれない方は、間食を取り入れるのも良い方法です。間食イコール甘いものやスナックなどのお菓子、というわけではありません。ここでの間食はあくまで栄養やエネルギーの補給です。選ぶ食材に気をつけましょう。

たとえば、カルシウムの多い牛乳などの乳製品、サツマイモやかぼちゃなど野菜を使ったもの、豆乳などの大豆製品など、足りていない栄養素を補給できそうなものを選べると理想的です。高齢になると不足しがちな水分を補給できる、ゼリーなども良いでしょう。

油抜きダイエットに気をつけましょう

体重が気になる方の中に、油分を避けている方はいませんか?油は体に悪いから、とると今より太ってしまうからと、避ける傾向にある方がもしかしたらいるかもしれません。

たしかに、油分はとりすぎると、高脂血症や動脈硬化など体に悪影響を引き起こしてしまう可能性があります。しかし、油分は悪いばかりではなく、体にとって必要な栄養素の一つです。足りなくなると、体のエネルギーが不足してしまったり、病気に対する抵抗力が弱まったりするほか、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなることもあります。

歳を重ねると、だんだんと食事量が減るにしたがって、油分も不足傾向になります。皮膚表面の油分も不足して乾燥しがちになりますので、あまり減らし過ぎないようにしましょう。

揚げ物は「給油率」を意識しよう

揚げ物はみんな油っぽくて食べにくい、カロリーが多いと思っていませんか?実は、料理の種類や工夫によって、油っぽさは変わります。これを給油率といい、高い方が油っぽいという目安になります。

主な揚げ物の給油率を低い順に並べると、このようになります。

素揚げ<唐揚げ<天ぷら<フライ

給油率を低くするためには、衣を薄くしたり、揚げるものの表面積を小さくしたり、といった工夫をしてみましょう。

表面積を小さく、という点はイメージがつきにくいかもしれません。たとえば、同じ重さの素材をそのまま使うのと、細かく切って使うのとでは、油に触れる面積が違いますよね。じゃがいもであれば、薄切りのポテトチップスよりも、くし形に切った方が油は吸いにくいです。トンカツであれば、ひとくちカツよりも、1枚丸ごと揚げた方が給油率は下がります。

揚げ物が苦手な方は、このポイントを意識して調理してみると、いつもより食べやすくなるでしょう。

また、「揚げ焼きにした方が油は吸いにくいのでは?」と思われるかもしれませんが、あまり変わりはありません。揚げ焼きだと使う油が少なく済みますが、たっぷりの油を使った方が、からりと揚がります。どちらにするかは、好みで選んでください。

体に合わせた調理方法を選ぼう

若い頃は油たっぷりの食事を平気で食べていたという方でも、歳を重ねるとだんだん食べられなくなってきた、ということは少なくありません。肥満気味の方は、痩せようと無理に食事を減らすと、逆に栄養不足で体調を崩してしまいます。

必要な栄養とエネルギーがしっかりととれるように、ご自身にあった調理方法を工夫してみてください。

監修

鈴木吉彦医学博士

慶応大学医学部卒。元、日本医科大学客員教授。現、HDCアトラスクリニック院長。

糖尿病外来と併行し、自由診療としての肥満治療外来を立ち上げる。