30〜40代で気にしなければならない健康と予防対策

くり返すめまい・耳鳴り もしかして「メニエール病」かもしれません

身体のこれから

めまいを起こす病気はいくつかありますが、そのひとつが「メニエール病」です。仕事・家事・育児と多忙な年代に多い病気で、ストレスが深く関係する病気であるため、日頃から十分な休息を心がけ、あれもこれもと頑張りすぎないようにしましょう。

【ライタープロフィール】遠藤愛

めまいは多くの人が経験する症状のひとつです。症状が一時的ですぐに落ち着くことも多いため、疲れや軽い貧血と判断し、そのまま忘れてしまう方もいるのではないでしょうか。
めまいを起こす病気はいくつかありますが、そのひとつが「メニエール病」です。ある日、突然、発症し、適切に治療しなければ後遺症を残すこともある病気で、若い世代に多いとされています。
今回は、メニエール病の原因・症状・治療について解説します。

メニエール病の原因・症状

メニエール病とはどのような病気でしょうか? 「日本めまい平衡医学会」のウェブサイトには、以下のように記されています。

蝸牛症状を伴う発作性のめまいを反覆する内耳性めまい疾患である。
(メニエール病 - 日本めまい平衡医学会より)

「蝸牛症状」とは、耳鳴り、難聴(耳が聞こえにくい)のことで、メニエール病はそれらの症状に加えて「強いめまい」が特徴です。周囲の人や景色がグルグルと回っているような、立っていられないほどの強いめまいを感じ、日常生活に支障をきたすこともあります。

*①渦巻(加工)

日本のメニエール病患者数は、人口10万人あたり35〜50人(総人口あたり4〜6万人程度)(※)と推定され、決して患者数が多いわけではありません。
しかし、この病気を公表した有名人は意外と多く、「1度は耳にしたことがある」という方も多いのではないでしょうか。

メニエール病は別名「内リンパ水腫」と呼ばれ、耳の奥の「内耳」という場所の内リンパ液が過剰に溜まり、水ぶくれのようになった状態です。
内耳には、耳の聞こえに関わる「蝸牛」と、バランス感覚に関わる「前庭」「半規管」があります。そのため、内耳が水ぶくれの状態になって機能障害が起こると、めまいや耳鳴り、難聴といった症状が現れるのです。

*②耳の構造 断面図(看護roo!イラスト集)

メニエール病のめまいは「ちょっとふらつく」程度のものではなく、立っていられないほど激しい「回転性めまい」が特徴です。症状が落ち着くまでは身動きがとれず、吐き気や嘔吐、耳閉感(耳がつまったような圧迫感)をともなうこともあります。
このようなつらい症状がくり返し起こるため、日常生活や仕事に支障をきたし、休職に追い込まれるケースが珍しくありません。さらに、発作をくり返すたびに病状が悪化し、後遺症として難聴が残るリスクもあります。ただ、症状の現れ方は人それぞれで、めまいが数十分で落ち着くこともあれば数時間続くこともあります。発作が起こる間隔も数日から数年単位と、かなり個人差が大きいのも特徴です。

残念ながら、メニエール病の原因はいまだ解明されていません。しかし、この病気を引き起こす要因として、次のようなものが挙げられます。

  • ストレス
  • 過労
  • 睡眠不足

近年は、長時間労働やブラック企業など労働環境の悪化が社会問題となっています。ほかにも、「人間関係がつらい」「仕事と家事育児の両立が大変」「核家族で頼れる親族が近くにいない」など、心身ともにストレスを抱えている人が多いのではないでしょうか。特に30代、40代の働き盛りの方、家庭や仕事で悩みを抱えている方は、メニエール病になるリスクが高いと考えて、これらの要因を取り除くことが大切です。

*③就寝時に体調不良になった女性

メニエール病を予防するためにできること

メニエール病の原因が不明である以上、「これで必ず予防できる」という方法は残念ながらわかっていません。しかし、要因を取り除くことで発作の頻度を少なくし、症状をコントロールすることは可能です。メニエール病による後遺症を予防するためにも、今からできる対策をいくつかご紹介します。

ストレスを軽減する

メニエール病を発症するきっかけのひとつが、心身のストレスです。
仕事や人間関係、家族関係、子育て、介護など、私たちは日々何らかの悩みやストレスを抱えながら生活しています。
ストレスを軽減するためには、働き方を変える、苦手な人とは無理に付き合わない、パートナーと家事や子育てを分担するなど、できる限り「ストレスのもと」を取り除くようにしましょう。また、こころからリラックスできる場所やストレス解消法、リフレッシュできる趣味を見つけることも大切です。

*④リラックスタイム

低塩分の食事を心がける

メニエール病は耳の奥に内リンパ液が過剰に溜まる病気です。
余分な水分をからだに溜め込まないためにも、低塩分の食事を心がけましょう。外食やお惣菜、居酒屋メニューは塩分過多になりやすいため、自炊を基本とします。

十分な睡眠をとる

睡眠不足で十分な休息がとれないと、心身の疲労・ストレスにつながります。
ストレスが溜まると自律神経のバランスを崩しやすく、それが原因でさらに睡眠不足になり、さらにストレスが溜まる......という悪循環に陥ります。このような状況を断ち切るためにも、しっかりと睡眠をとることが重要です。
リラックスできる空間作り(照明・リネン・アロマなど)、寝る前のスマホやパソコンを控える、アルコールやカフェインのとり過ぎに注意するなど、しっかり眠るための環境を整えましょう。
どうしても眠れない場合は、決まった時間にベッドに入り、横になって目を閉じるだけでも大丈夫です。

*⑤ベッドで眠る女性9

メニエール病の診断・治療

病気の予防をしていたにも関わらず、くり返すめまいや耳鳴りなどの症状が現れた場合は、早めに病院を受診しましょう。
メニエール病は発作をくり返すことで徐々に病状が悪化し、聴力やバランス感覚に機能障害を残すことがあります。そのため、なるべく早く病気に気づき、適切な治療を受けることが大切です。

次のような症状がある場合は、メニエール病と診断されます。

回転性めまい

立っていられないほどの激しい回転性めまいは、メニエール病の特徴的な症状です。
まれに、浮動性めまい(足元がフワフワと浮くようなめまい)が生じることもあります。

耳鳴り・難聴(耳が聞こえにくい)

めまいだけでなく、耳鳴りや難聴をともなうのも特徴です。両方現れることもあれば、どちらか一方のこともあります。

ほかの神経症状がない

メニエール病は、めまいや、耳鳴り、難聴などの症状が特徴です。
これ以外の神経症状(例えば、意識障害・顔面や手足の麻痺・しびれなど)がある場合は、ほかの病気を考えます。

内耳障害の原因がほかに見当たらない

耳鳴りや難聴の原因が、中耳炎、感染症、ケガなどによるものではないと確認することが必要です。

 

診察で以上のことが確認されれば、メニエール病と診断され、治療を開始します。しかし、先述したようにメニエール病の原因ははっきりしていません。そのため、根本治療は難しく、薬で症状を落ち着かせる対症療法が中心となります。

メニエール病の薬物療法

*⑥薬を飲む人5

発作的なめまいや吐き気を落ち着かせるとともに、内リンパ水腫の改善を目指した治療を行います。

  • 抗めまい薬・制吐剤・精神安定剤などを服用し、応急的に症状を落ち着かせます。
  • 利尿剤・血流改善薬・ステロイド剤・ビタミン剤などを一定期間服用し、内リンパ液水腫の改善を図ります。

内服薬は定期的な診察・検査を行い、症状の経過に応じて処方されます。ご自身の判断で量を増やしたり、飲むのを止めたりすることのないよう注意してください。

手術療法

薬物療法で症状がコントロールできず、重度のメニエール病と診断された場合は手術療法を検討します。

十分な休息とストレス改善でメニエール病を予防しましょう

メニエール病は、仕事・家事・育児と多忙な年代に多い病気です。
ストレスが深く関係する病気であるため、日頃から十分な休息を心がけ、あれもこれもと頑張りすぎないようにしましょう。ストレスの原因を取り除くとともに、リラックスできる場所や自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
また、くり返すめまいや耳鳴りを感じたら、早めに受診することが病気の早期発見につながります。

【出典元】
※渡辺行雄「メニエール病診療最近の動向」、115―866,2012,p.4.

ライタープロフィール

遠藤愛

看護師として約13年間病院勤務。外科・内科病棟、地域連携室、介護老人保健施設、訪問看護に従事。現在は看護師の知識と経験を活かし、ライターとして活動中。