【特集】50代から気をつける病気。予防・対策

女性の更年期は約10年 つらい更年期障害をやわらげて生活の質(QOL)を上げよう

身体のこれから

女性の更年期障害の原因や現れやすい症状のほか、つらさをやわらげる治療や日常生活の工夫などを解説します。

【執筆者】中西 真理

女性が閉経を迎える平均的な年齢は50歳前後といわれています。しかし個人差がとても大きく、40代で閉経する人もいれば50代後半まで生理(月経)が続くという人もいます。
生理が完全に停止する閉経期をはさんだ前後10年間を「更年期」と呼びます。

更年期には、女性ホルモンの分泌量が急激に低下し、からだにもこころにもさまざまな症状が生じてきます。そして、日常生活に支障が出るほどつらい症状が現れるのが「更年期障害」です。

更年期は、誰にでも必ず訪れるものです。そして、更年期にともない何らかの症状を感じている女性は8割にも達するといわれています。しかし、更年期を迎えた人すべてが更年期障害になるわけではありません。また、「はずかしい」「年を取ったと思われたくない」という気持ちから、気になる症状があっても悩みを相談できない女性も少なくありません。

そこでここでは、女性の更年期障害の原因や現れやすい症状のほか、つらさをやわらげる治療や日常生活の工夫などを解説します。

ホルモンバランスだけではない 更年期の症状に影響を与えるさまざまな要因

更年期における体調の変化は、女性ホルモンの減少でからだの機能がうまく働かなくなるために生じます。
一方で、40~50代の女性は、子どもの成長や独立、親の介護や死、夫の定年、仕事における重責など、さまざまな社会的ストレスにもさらされています。
このようなストレスも、更年期における体調変化や更年期障害に大きな影響を与えていると考えられています。さらに、体質や性格などさまざまな要因が複雑に絡み合うため、更年期の症状は非常に多彩で、重症度もひとりひとり異なります。

更年期の症状は多岐にわたりますが、これらの症状をすべて更年期に結びつけて考えるのは危険です。子宮がんや甲状腺の病気、うつ病などでも同じような症状が現れることがあるので、からだの不調を感じたら医療機関を受診するようにしましょう。

更年期を過ごしやすくする薬物療法や日常生活の工夫

更年期にともなうつらい症状には、薬物療法が有効とされるケースも少なくありません。
薬物療法でよく使われるのは、女性ホルモンを補う薬や漢方薬です。女性ホルモンを補う治療は「ホルモン補充療法」と呼ばれます。ホルモン補充療法で使われる薬は、飲み薬のほか貼り薬や塗り薬があり、閉経年齢や手術歴、病歴などに応じて処方内容が変わってきます。漢方薬は、体型や体質なども考慮して、東洋医学的な観点からその人に適した処方が選ばれます。

さらに、めまいに自律神経に働きかける薬、不眠がある場合には寝付きを良くする薬、気分が沈みがちな場合には気持ちのリラックス効果が期待できる薬など、更年期の症状に応じたほかの薬が処方されることもあります。

なお、漢方薬についてはドラッグストアでも購入できますが、医療機関で処方される薬と市販の薬では、成分の量や比率が異なることがあります。また、きちんと体質に合うものを選ばなければ、効果が期待できないだけではなく、症状が悪化する可能性があります。そのため、面倒でも医師に相談して処方してもらったほうが良いでしょう。

日常生活では、疲れやストレスを溜めないようにしましょう。規則正しい生活を心がけ睡眠時間を確保すると、疲れが溜まりにくくなります。また、夢中になれる趣味などを見つけると、ストレス発散に役立ちます。自治体が実施している女性向けのカウンセリングなどが、ストレスの軽減に有効なこともあります。

食事は、できるだけバランスのとれた食事を心がけましょう。更年期の女性に特におすすめなのは、大豆や大豆加工食品(豆腐・納豆・豆乳など)です。大豆には、女性ホルモンに似た働きを持つとされる大豆イソフラボンのほか、タンパク質・ビタミンミネラル類・カルシウム・食物繊維などが多く含まれています。

もちろん、運動もおすすめです。運動はストレス解消や血行促進に役立つだけではなく、肥満の防止や骨を丈夫にする効果も期待できます。散歩や家事なども運動になるので、無理をしないように楽しく続けるようにしましょう。

また、女性ホルモンが減少する閉経期以降は、肥満や生活習慣病、骨粗しょう症のリスクにさらされることになります。食生活や運動習慣の見直しは、閉経後の病気のリスクを減らすことにもつながるので、積極的に取り組みましょう。

更年期は人生のターニングポイント 生活を見直して更年期後も健康に過ごそう

更年期は誰にでも訪れるものですし、更年期障害も恥ずかしいことではありません。10年にもおよぶ更年期を、悩みながらくよくよ過ごすのは非常にもったいないことです。また、更年期障害をきっかけとして日常生活を見直すことは、その後の健康にも良い影響を与えます。

日本人女性は平均寿命が80歳を超えているため、更年期後の人生が数十年続くことも少なくありません。体調の変化に気がついたら、積極的に医療機関を受診し、来たるべき老後に備えましょう。

執筆者

中西 真理

公立大学薬学部卒。薬学修士。

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。