まさかの病気、見つかる前に知っておきたい「セカンドオピニオン」とは

身体のこれから

大病に遭遇した時のために知っておきたいのが、「セカンドオピニオン」という考え方です。

【監修】清水 沙矢香

ある程度の年齢を重ねてくると、単なる体調不良で病院に行ったつもりが、にわかに信じがたい名前の病気を告げられる可能性が高くなります。聞いたことはあるけれどまさか自分が、ということも珍しいことではなくなり、長期の入院や手術が必要になることもあるでしょう。

大病に遭遇した時のために知っておきたいのが、「セカンドオピニオン」という考え方です。

セカンドオピニオンとは

がんや心臓の病気が見つかると、治療方法が複雑な場合や長期にわたる治療が必要な場合があります。また、かかる費用が大きなものになることもあるでしょう。特に治療方法については、専門的であるために一般の人には理解が難しく、またリスクがともなうことも少なくありません。もちろん病院側には患者さんが理解できるよう納得のいく説明をする義務があります。それでもどこか納得がいかなかったり、他の治療方法はないのかと思ったりする場合があります。「別の角度からの意見が欲しい」ということもあるでしょう。

こうしたとき、別の医師の意見や見解を聞くという考え方が「セカンドオピニオン」です。「第二の意見」を聞くことで、自分の病状をより正確に把握し、場合によっては新しい治療法などを提案してくれる可能性があります。

セカンドオピニオンと転院の違い

セカンドオピニオンには、誤解されがちな点があります。それは、「セカンドオピニオン」=「転院」ではないということです。まずは、この2つの違いを知っておきましょう。

転院

医師からの診断を不安に思った場合、他の医療機関を受診しなおすことは基本的には可能です。ただ、それまでの治療をいったん止め、別の病院で検査などを一からやり直さなければならないという負担が生じます。また、そこでも「納得がいかない」となるとさらに他の医療機関にかかることになり、いわゆる「ハシゴ受診」につながるため注意が必要です。
こうなると、治療や投薬を何度もやり直すことになり、無駄な医療を受けてしまう可能性があるほか、病気によっては、症状が進行してしまうリスクがあります。また、経済的な負担も大きくなります。

セカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは、「別の医師の意見を求める」ことであり、基本的には、転院したり、担当の医師を替えたりすることとは異なります。この場合、担当医に紹介状を書いてもらい、その病院の「セカンドオピニオン外来」を受診することになります。病院によっては、幅広い分野でのセカンドオピニオン外来を受け付けているところもあります。

セカンドオピニオンは、元の担当医から紹介状や検査結果のデータや画像の提供を受け、違う医師に説明や意見を求め、その内容や相談を受けた医師の見解を元の担当医に報告する、という機能です。その報告を新しい材料として、再び元の担当医と治療方法について話し合い、より理解を深めるもの、と捉えると良いでしょう。担当医の診療内容とセカンドオピニオンの内容が一致した場合、安心して担当医の元に戻ることができるのも特徴です。

治療を中断し、他の医療機関を回った結果、元の担当医が良いとなった場合、心理的に「戻りづらい」と考える患者さんも多いようですが、セカンドオピニオンではそのような心理的負担は減るでしょう。
なお、セカンドオピニオン外来では、転院を受け付けてくれる場合もあります。

セカンドオピニオンを検討するにあたって

セカンドオピニオンを受けるにあたって、まず大切なのは、「ファーストオピニオン」である、元の担当医の話をしっかりと聞き、十分に理解しておくことです。そうしなければ、セカンドオピニオンを求めるにあたっても、前提条件をきちんと説明できず意味がなくなってしまうからです。なお、セカンドオピニオンは、基本的に公的保険が適用されず、自費診療になり、費用も病院によって異なります。

セカンドオピニオンを受けるにあたり、病院選びのサポートをしてくれる機関もあります。がんの場合は、「がん相談支援センター」がその窓口であり、全国に設置されています。

がん相談支援センターを探す:[がん情報サービス]

 

心臓病の場合は、日本心臓財団がメールによるセカンドオピニオン相談を受け付けています。

インターネットセカンドオピニオン|公益法人 日本心臓財団

セカンドオピニオンの流れ

実際にセカンドオピニオンを求めるとなった時には、最初の担当医から紹介状などをもらう必要があります。
セカンドオピニオンを受ける流れと注意点として、以下のようなものが挙げられます。

まず、最初の担当医の話(ファーストオピニオン)をしっかり聞き、「診断名、病状、推奨される治療法、なぜその治療法を推奨するのか」をしっかり把握しましょう。メモなどを取っておくのがベストです。セカンドオピニオンを聞いたときに混乱しないよう頭の中で整理しておきましょう。また、「なぜセカンドオピニオンを求めたいのか」も自分の中で明確にしておく必要があります。そして、検査で得られたデータや画像があれば受け取り、セカンドオピニオン外来に持ち込みましょう。

セカンドオピニオンを受けた後は、その内容を最初の担当医に報告します。セカンドオピニオンによって考え方が変わった場合には、「変わったということ」「それがなぜなのか」をしっかり伝える必要があります。そこからさらに話し合いを進めましょう。

セカンドオピニオンに関する注意

さまざまな情報は患者さんの力にはなりますが、どんな病院が良いのか、どんな治療方法がよいのかは、人それぞれです。特に個人の経験談を頼りにするのは避けましょう。また、「なぜセカンドオピニオンを求めたいのか」を自分の中でしっかり、細かく考えることは重要です。「この部分が納得できない」と絞り込めればベストです。

セカンドオピニオンは、病気に対する理解を深めるうえでは良い制度ではありますが、何のために求めているのかが自分の中ではっきりしないまま闇雲に求めても、論点がずれてしまいます。
大病の診断を伝えられると、「信じたくない」という気持ちから、医師の説明を拒否したくなることもありますが、感情的なまま医師の説明を聞くのもよくありませんし、病状によってはそのような手続きを踏んでいる時間さえもったいないということもあります。

まず、担当医によるファーストオピニオンが軸であり、セカンドオピニオンは理解を深めるための場所として捉えるのが基本です。ただ、その中で違いがあったときには、まず、元の担当医にその意見をフィードバックするところから始めましょう。また、セカンドオピニオンを聞いたときに、自分がどう思ったのかを必ず整理して伝えましょう。

専門的な話の多い分野ですが、自分の言葉で伝えられるレベルまで理解しなければ、医師や病院を何度行き来しても、混乱する可能性の方が高まってしまいます。特にセカンドオピニオンで違う見解や治療方法を提案された場合には、再び別の病院の紹介をしてもらう必要性もあります。納得できる治療を受けるためには、冷静に理解する努力がまず必要です。

監修

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、大手放送局に主に記者として勤務。2017年退職後、Webライターとして、経済を中心とした取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。
趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。