「口の中が渇く、味覚がおかしい・・・」そんなあなたへ。ドライマウスの予防と対策

身体のこれから

ドライマウスの原因と具体的な症状、予防や改善方法

【監修】遠藤愛(えんどうあい)

ドライマウス(口腔乾燥症)は40代以降から徐々に増加し、ミドル~シニア層では多くの人に見られるお口のトラブルです。口やのどの乾きだけでなく、重症化するとあらゆる症状を引き起こし、生活に支障が出るケースもあります。
この記事では、ドライマウスの原因と具体的な症状、予防や改善方法について詳しく解説します。

ドライマウスの原因は加齢・ストレス・薬の副作用

ドライマウスは、唾液(つば)の分泌が少なくなり口の中が乾燥した状態で、「口腔乾燥症」とも呼ばれます。特にシニア層の女性に多く見られ、虫歯や口臭の原因になるとともに、症状が進行すると味覚障害や嚥下障害といったトラブルを引き起こします。

ドライマウスは女性に多い症状といわれており、薬の副作用やストレス・緊張による交感神経の刺激で唾液の分泌量が少なくなることで起こります。(中略)病気や年齢による唾液量の低下も原因となります。また口で呼吸することで唾液が蒸発してしまい乾燥を感じる場合もあります。

出典:厚生労働省「e-ヘルスネット

ドライマウスの3大要因は「加齢」「ストレス」「薬の副作用」です。加齢にともなう唾液腺の萎縮や噛む力の低下、ストレスや緊張による自律神経の乱れによって、唾液の分泌が少なくなることが主な原因です。また、花粉症、うつ、高血圧、がんなどの治療薬には唾液の分泌を抑える副作用があるため、病気の治療が原因でドライマウスを発症することもあります。

まだ症状が軽い方も、「たかがドライマウス」とあなどってはいけません。唾液には、こんなに多くの役割があることをご存知でしょうか?

  • 自浄作用(口内に残っている食べかすや歯垢を洗い流す)
  • 抗菌作用(口内の雑菌の繁殖を抑える)
  • 消化作用(デンプンをブドウ糖に分解し、消化しやすくする)
  • 粘膜保護作用(口腔粘膜を保護するとともに、口内を滑らかにして声を出しやすくする)
  • 中和作用(食後、酸性に傾いた口内を中和し虫歯を予防する)
  • 修復作用(口腔粘膜の傷を修復する)
  • 再石灰化作用(溶けかかった歯の表面を修復し、虫歯になるのを予防する)

ほかにも、味覚を感じさせたり、食べ物を飲み込みやすくしたりする働きがあります。成人の場合、1日に1〜1.5Lもの唾液が分泌されていますが、私たちが普段意識することはほとんどありません。しかし、唾液には先ほど述べたようなさまざまな役割があるため、唾液の分泌が減ってこれらの作用が十分に働かなくなると多くのトラブルが出てきます。

ドライマウスによって引き起こされるトラブル

では実際に、ドライマウスによって生じる症状・トラブルを具体的に見ていきましょう。

口内がネバネバする

自浄作用や抗菌作用が低下し、口内の雑菌の繁殖・不快感・口臭の原因になります。
寝起きに口の中がネバついているという方は、唾液の分泌低下や睡眠中に口呼吸をしている可能性があります。

舌のひび割れ・痛み

粘膜保護作用が低下し、舌のひび割れ・口角炎・痛みの原因になります。

虫歯や歯周病になりやすい

自浄・抗菌・中和・再石灰化作用が低下し、口内環境が悪化すると虫歯や歯周病の原因になります。

風邪・インフルエンザ・肺炎にかかりやすい

抗菌作用が低下し、感染症にかかりやすくなります。特に空気の乾燥している冬場は口内も乾燥しやすく、注意が必要です。

味覚障害・嚥下障害

口内の乾燥やひび割れにより滑らかさが損なわれ、味覚の低下や食べ物を飲み込みづらい状態になります。

発音障害

口内が乾燥することでしゃべりづらくなります。

このように口内の乾燥だけにとどまらず、あらゆるトラブルを引き起こすのがドライマウスの怖いところです。症状が悪化すれば食事が満足にできなくなり、栄養状態の悪化や精神的ストレスにつながることもあります。特に免疫力や全身の機能が低下している高齢者の場合、感染症や嚥下障害が悪化することで寝たきりになるケースもありますので、日頃のケアでドライマウスを予防することが大切です。

ドライマウスのセルフケアと予防策

ドライマウス対策にはいくつかの方法がありますが、特に代表的なものをご紹介します。 まずは、ドライマウスの3大原因(加齢・ストレス・薬の副作用)の対策です。

老化予防

よく噛んで食べる、よくしゃべるなどして、お口周りの筋力低下を予防しましょう。
口腔筋機能訓練のひとつで、顔・口・舌の筋肉を鍛える「パタカラ体操」が効果的です。

ストレス対策

規則正しい生活を心がけ、自律神経のバランスを整えましょう。また、十分な休息、適度な運動、趣味や娯楽、リラクゼーションなどを取り入れて、心身のストレスを解消しましょう。

薬の副作用対策

唾液が減ってしまう代表的な治療薬に、抗アレルギー剤、降圧剤、抗うつ剤、睡眠剤、抗がん剤などがあります。病気の治療をしっかり行うとともに、マウスウォッシュや保湿ジェルを使用して口内の清潔・保湿を心がけましょう。

続いて、口内マッサージで唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促す方法です。唾液は血液から作られているため、唾液腺のマッサージで血流を良くすることがポイントです。
以下の手順に沿って、毎食後と寝る前にそれぞれ1〜2分間かけて行うと効果的です。

  1. うがいをして口内を湿らせます。
  2. 保湿ジェルを指先にのせ、舌の表面をていねいにマッサージします。(1回につき5〜10秒かけて、2~3回繰り返します)。
  3. 上あご→舌の下→頬の内側→上唇の内側→下唇の内側の順に、粘膜をていねいにマッサージします。

ほかにも、補助的な対策として以下のようなものがあります。

  • マスクをつけて乾燥を予防する
  • ガムを噛んで唾液の分泌を促す
  • うがいやこまめな水分摂取で口内を潤す

ドライマウスになりやすいシニア世代は、これらのケアを日常的に行ってドライマウスを予防しましょう。また、口内の乾燥を感じ始めた初期の段階からケアを行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。

「ドライマウスかな?」と思ったら早めの相談を

ドライマウスになると食事や会話に支障をきたし、生活の質を低下させることにつながります。ドライマウスを予防するためにも、普段から食事をよく噛み、お口周りのストレッチや適切なマウスケアで唾液の分泌を促す習慣を心がけましょう。また、「ドライマウスかな?」と感じたら、早めに歯科受診することも大切です。日頃の予防習慣と早めの対策で、いつまでも健康的な口内環境を保ちましょう。

監修

遠藤愛(えんどうあい)

看護師として約13年間病院勤務。病院時代、高齢患者と家族の介護問題に直面したことをきっかけに、介護老人保健施設・訪問看護に従事、高齢者看護を学ぶ。現在は看護師の知識と経験を活かし、ライターとして活動中。