あと15年を働き抜くために!50代が気をつけるべき病気の傾向と対策

身体のこれから

50代が気をつけたい病気と、予防するための対策

【監修】浅野すずか

「人生100年時代」という言葉もあるように、今後は現役で働く期間が長くなっていくと言われています。年金の支給も65歳からとなり、平均寿命が延びている日本では60歳で定年退職という概念がなくなりつつあります。「働けるうちは、仕事を続けたい」と思っている方も多いでしょう。しかし、年齢とともに病気にかかるリスクも高くなります。今のまま元気に働き続けられるのか、不安になりますよね。

そこで今回は、50代が気をつけたい病気と、予防するための対策をまとめました。健康への意識を高めたい方や、少しでも長く働き続けたい方の参考になれば幸いです。

健康と幸せは密接に関係する

まず、一般的に健康はどの程度重視されているのでしょうか? 厚生労働省の調査によると、「幸福感を判断するのに重視した事項(世代別)」における40~64歳の回答は、「健康状況」が53%と最も高く、次いで「家族関係」(49.7%)、「家計の状況」(48.7%)という結果になっています。

厚生労働省 「平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~」図表2-1-13 幸福感を判断するのに重視した事項(世代別)を基に作図

なお、「健康状況」の項目は、65歳以上では71.9%が重視すると回答しています。今後の人生を考えたとき、50代が健康状態を気にするのは当然ともいえます。健康でなければ、働くことができず収入が減ります。もし寝たきりになれば、趣味を楽しむことも難しくなります。健康をできるだけ維持することが、幸せな生活につながるといえそうです。

50代が気をつけたい病気とは?

厚生労働省がまとめた人口動態統計年報(平成29年)によると、50代の死因順位は以下の通りでした。

 

第1位

第2位

第3位

50~54歳

悪性新生物(がん)

心疾患

自殺

55~59歳

悪性新生物(がん)

心疾患

脳血管疾患

厚生労働省「人口動態統計 年報」第7表死因順位(1~5位)別死亡数・死亡率(人口10万対),性を基に作成

ここでは、それぞれの病気について解説します。

悪性新生物

いわゆる「がん」のことです。何らかの刺激が長期間加わることで、正常な細胞ががん細胞に変化すると考えられています。悪性新生物の原因は、タバコ、アルコール、高脂肪食、紫外線などさまざまです。治療法は、手術、抗がん剤、放射線治療などがあり、状態によっては通院で治療を受けることもできます。
以下の図をみると、男性は50代から増え始めることが分かります。

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」を基に作図

心疾患

心臓に何らかの障害が起こり、血液の流れが悪くなって引き起こされる病気のことです。
代表的なものが虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)で、生活習慣病のひとつとされています。胸の痛みが主な症状で、特に心筋梗塞は命に関わる危険な病気です。
厚生労働省の調査によると、心疾患による死亡率は、50~54歳は30~34歳の約10倍という結果が出ており、年齢が上がるにつれてリスクが高くなることが分かっています。

厚生労働省「平成29年 人口動態統計年報 主要統計表(死亡)第2表 死因順位(第10位まで)別にみた年齢階級別死亡数・死亡率(人口10万対)」のデータを基に作図

脳血管疾患

脳の動脈がつまったり破裂したりして脳の細胞が壊死し、身体の機能に影響をおよぼす病気です。「脳卒中」ともいわれます。
代表的な病気は脳梗塞や脳出血で、意識障害をおこすこともあります。死に至らなくても、後遺症で麻痺やしびれが残り、その後の生活が不自由になることも多い病気です。

50代女性は女性ホルモンの減少にも注意!

女性は、女性ホルモンの減少にも注意しなければなりません。女性ホルモンであるエストロゲンが減るとさまざまな病気を引き起こすためです。女性は、40代後半から50代にかけて閉経が始まり、エストロゲンの分泌が急激に低下します。

内閣府 「男女共同参画白書(概要版)平成30年度」 第2節 男女の健康支援 男性・女性ホルモンの推移を基に作図

女性は閉経を迎えると、男性とは異なる心身の変化があらわれます。主なものが更年期障害、骨粗鬆症、高血圧です。

更年期障害

エストロゲンの低下によってほてり、めまい、動悸などの症状があらわれ、日常生活に支障がでている状態です。生活習慣の見直しや薬物療法で、症状の改善をはかります。

骨粗鬆症

骨がもろくなる病気で、男性に比べて女性に多く発症します。血液中のカルシウム濃度は、低下すると骨からカルシウムが溶けだすことで一定の濃度を保とうとします。エストロゲンは、カルシウムが溶けだすのを防ぐ役割があるため、閉経になると骨粗鬆症のリスクが高くなります。

高血圧

動脈を流れる血液の圧力が高いことで、血管に負担がかかっている状態です。上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と診断とされています。
エストロゲンには血管をしなやかに保つ作用があるため、分泌量が低下すると動脈硬化を引き起こし、高血圧も発症します。

なぜ50代が病気にかかりやすくなるのか?

50代になるとさまざまな病気にかかりやすくなることが分かりましたが、なぜリスクは高まるのでしょうか? 年齢が上がるにつれて、少しずつ内臓や血管、筋力に衰えが出ます。そこに、これまでの生活習慣が影響してきます。バランスを気にせず好きなものばかり食べる、運動習慣がないなどの不摂生が表面化するのです。
また、先述したがん、心疾患、脳血管疾患の原因といわれているものに、タバコやアルコールなどがあります。このような嗜好品を好む方は、より高い確率で病気にかかりやすいといわれています。
健康を手に入れるためには、気付いた時点で対策を立て、実行に移すことが大切です。

50代以降もいきいき過ごすためにできる4つのこと

バランスのよい食生活

つい多く摂取しがちなのが炭水化物です。過剰になると肥満につながりやすいので、野菜も積極的に取り入れましょう。とはいえ、毎回厳密に気をつけるのは難しいですよね。野菜が足りないと感じたときは、サラダや煮物などの副菜を一品追加するだけでも違いますので、取り入れてみてください。また、タンパク質は筋肉のもとになります。肉の他に、魚や大豆製品などのタンパク源も上手に組み合わせ、バランスよく摂取しましょう。

運動量を増やす

運動は、筋力低下と肥満の予防に役立ちます。
さらに、1日の歩行時間をのばすと、心疾患や脳梗塞の死亡率が下がるという、以下のデータがあります。病気を予防するためにも運動量を増やしましょう。
なかには、仕事や家事が忙しく、運動する時間がとれないという方もいると思います。その場合は、エレベーターではなく階段を使う、1駅分歩くなど、生活の中で歩行時間を増やす意識をもち、運動量を増やす方法をおすすめします。

厚生労働省 「平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~」図表2-2-32 1日の歩行時間と循環器疾病による死亡率の関係を基に作図

健康診断や人間ドックを受ける

年に1度は健康診断を受けて、今の健康状態をチェックしましょう。会社員の方は職場で受けると思いますが、専業主婦やフリーランスの方もぜひ健康診断を受けたいところです。加入している健康保険組合や、お住まいの自治体で実施していないか調べてみましょう。
また、人間ドックは健康診断よりも詳細に検査を行うので、健康診断で分からなかった病気が見つかることもあります。
自分のからだを定期的にチェックして、早期発見・早期治療につなげましょう。

こころの健康にも気を配る

先述したとおり、50~54歳の死因の第3位に「自殺」があがっています。精神疾患で病院を受診する人は年々増加傾向にあるとも言われています。50代は職場において責任ある立場になることも多く、ストレスをどのようにコントロールするかは重要な課題です。休日には趣味や運動で気分転換をはかったり、家族とのんびり過ごしたりと、自分のこころをいたわる時間を持ちましょう。

まとめ

現役としてできるだけ長く活躍するためには、50代のうちから健康を意識した生活習慣を取り入れることが大切です。ただ、生活習慣は変えようと思っても三日坊主になりやすく、挫折してしまう人もいるかもしれません。そのようなときは、ひとりではなく夫婦で、もしくはお子さんを含めた家族みんなで取り組むと継続しやすくなります。
60代以降をどのように過ごしたいのかのイメージのもと、前向きに取り組むことが大切です。

監修

浅野すずか

フリーライター

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。