住友林業ホームテック【日常も達人】

日常も達人

vol.5 地元・石川県で九谷焼を五彩で描く独特のミラクルワールド 九谷焼作家 米田 文さん

伝統的な九谷五彩が彩る米田さんの作品。左から「ヒナ」、「蓮の上の仏さま」、「春の合唱」。

伝統的な九谷五彩が彩る米田さんの作品。左から「ヒナ」、「蓮の上の仏さま」、「春の合唱」。

子育てで自分の時間は少なくなりましたが、仕事にパキッとメリハリをつけられるようになり、むしろいいなと思っています。

親指サイズの小さな人たちが100人以上も集まって歌舞音曲で花見を楽しむパノラマは圧巻。華やかな賑わいが聞こえてきそうです。  力みのない自由な雰囲気をまといながら密度の高い作風で人気の九谷焼作家、米田文さん。たとえば手のひらサイズのひな段飾り(上写真・左)や、花見を楽しむ親指ほどの人たち(右写真)は思い思いの表情と小道具つき。極細の線で細密に描き込まれた独特の絵を、九谷五彩と言われる赤・黄・緑・紫・紺青の上絵の具が鮮やかに彩っています。不思議な趣の米田作品が手にした人を惹きつけてやまないのは、この緻密さの裏打ちゆえでしょう。

 九谷焼の産地・能美に生まれ、陶芸家のお母様の背中を見て育った米田さん。はじめは研究者を目指して東京藝術大学で日本美術史を専攻しましたが、卒業間近になって「やっぱり自分で作りたい!」と陶芸作家の道を選びました。手びねりだけで形をつくり、表面の凹凸を眺めているうちに見えてきたものを描く、というのが米田流です。

 そんな米田さんは4歳のお嬢さんのお母さんでもあります。「子育てで自分の時間は少なくなったけれど、子どもと遊んでいる間は仕事を忘れて100パーセントの息抜きができるんです。病気で保育園に行けない時は娘とふわふわ過ごしながら仕事の段取りを考えたり調べ物をしたりして、元気になったら一気に取りかかる。かえってメリハリをパキッとつけられるようになったなと思っています」。作品も生活も地に足のついた自然体が、米田さんの魅力の根源かもしれません。 

Bun Yoneda

1975年、石川県能美市生まれ。東京藝術大美術学部芸術学科卒。県立九谷焼技術研修所、金沢市立卯辰山工芸工房を経て作家活動に入る。金沢在住。11月25日(金)〜12月8日(木)、祈りをテーマにした展覧会を予定。ギャラリー厨子屋 東京都中央区銀座1-4-4 ギンザ105ビル地下1階 11:00〜19:00 火曜休

左/金沢市民の台所・近江町市場は、米田さんのお宅から徒歩5分。忙しい合間を縫って、馴染みのお店でパパッと夕食の買い物を済ませます。 上左/たくさんの花をのせて今にも歩き出しそうな「花箱」。 上右/小さくて艶やかな亀たちが箱を登り降りていく「かめの箱」。フタをあけると中にもかめがびっしり。

わたしのお気に入り

  • 可愛げのある小さな古雑器

    昔から好きだった古い雑器。実家にいた頃は自分の部屋の押入れや工房にごっそり溜め込んでいました。今の家には置く場所がないので引っ越す時に普段の食事で使えるものを選んで持ってきたのですが、やっぱり可愛いものや名品に出会うと心がポンと飛んで、「こういうのを持っていたらきっと良い作品がつくれるよね」「でも置く場所ないね」と一人で悶々としています。

  • もう一度行きたいエチオピア

    自分をリセットできる辺境の旅が好きで、パタゴニアやグァテマラにも行きました。写真は、8年前に女友だちと二人でエチオピアの「ラリベラの岩窟教会群」に行った時のもの。13世紀頃に標高3000mの高地で、一枚岩を掘り下げ、くり抜いて美しい部屋や壁画まで造ったのを見て、私も頑張ろうと思いました。子どもがもう少し大きくなったら、ぜひまた行きたいです。

  • 体に優しく、飽きないクッキー

    なかしましほさんのレシピ本に載っているクッキーとクラッカーが大好きです。この本は5年くらい前に友人からもらったのですが、簡単で体に優しくて飽きません。子どものおやつや手土産などに今でも週に1回は作っています。いちばんのお気に入りは、オートミールビスケット。『まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとクラッカーの本』(¥1,200/主婦と生活社)