住友林業ホームテック

リフォーム CASE STUDY 3 旧家・古民家リフォーム

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旧家・古民家リフォームとは

古の匠の技と知恵、そして家族の歴史が詰まった旧家・古民家。その伝統と趣を大切にしながら、現代の暮らしに合った機能や設備を取り入れることで、快適な住まいを実現します。木の魅力と、伝統の木造建築工法を知り尽くした住友林業グループだからこそできるリフォームです。

CASE STUDY 概要

  • 所在地:茨城県 H邸
  • ご家族構成:Hさんご夫婦、お子さま1名
  • 工事内容:築200年(推定)の木造戸建住宅をフルリノベーション
  • 工事面積:196.33平方メートル(59.38坪)

築200年の旧家再生は、
住友林業ホームテックに託された。

2005年におばあさまが亡くなられて以降、無住の家になっていたH邸。築200年を誇る大きな平屋で、別棟に住むお母さまが風を通されたりはしていたものの、歳月は確実に建物をむしばんでおり、雨漏りをはじめとした老朽化によるトラブルが深刻化していたと言います。

「ですが、この建物は自分の先祖が代々住み継いできたもの。使われている梁、柱、建具はもう手に入らない貴重なものばかりでしたし、自宅として使えるものなら直したいと思っていました」と語るご主人さま。ご自身は構造設計の専門家、奥さまは一級建築士でもあることから、「これだけの立派な建物は、なんとしても残したい」という思いが強かったそうです。

とは言え、経年劣化から来る耐震性の問題を考えると、家族が長く住む家としては不安が残ります。そこがクリアできなければリフォームには踏み切れません。住友林業ホームテックにご相談が寄せられたのは、まさにそんな理由からでした。当社が誇る旧家・古民家再生の実績とノウハウ、技術力に、H邸再生の望みが託されたのです。

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営業設計担当は、この案件を通じて自分自身が飛躍的に成長したと感じているそう。

旧家最大のウィークポイントは耐久力。
その不安をどう払拭するか。

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梁は古材、床板はスギの無垢材、壁は珪藻土の塗り壁。新旧の材が上手く融和したLDK空間。

「お客さまは当初、駄目になった古材を撤去し、部分的に新築するハイブリッド案も検討されていました。それほど強度に対する不安は強かったのです。ただ、それだと旧家の一番の魅力である梁を見せることができません。それなら、不安要素を一つずつクリアにして、リフォームに決めていただこうと考えました」と語るのは営業設計担当。まずは、住友林業の筑波研究所に協力を仰ぎ、国内に数台しかない『レジストグラフ』という装置を使った古材の耐久力試験を行うことにしました。その結果、200年以上を経てなお、必要充分な耐久力があることが分かったのです。

「こうした旧家には基礎がないのですが、ジャッキアップして基礎を新設し、さらに当社オリジナルの耐震補強や制振装置を組み込めば、『長期優良住宅』*の認定すら受けられると確信しました」と営業設計担当。Hさんご夫婦は「そこまでのクオリティが出せるのか」と驚かれたそうですが、これで強度への不安は完全に払拭されました。

そこから先は空間作りの提案です。リフォーム前の間取りには馬小屋や蔵、廊下など、家からはみ出したようなかたちになっている部分がありました。Hさんご夫婦には「できるだけ四角い形に収めたい」というご要望があったため、それら出っ張った部分の減築にあわせ、あらためて今の暮らしに必要な空間を整理。そこから新しい間取りとデザインを考えていくことになりました。

*長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅。構造躯体等の劣化対策、耐震性、可変性、維持管理・更新の容易性、高齢者等対策、省エネルギー対策などを高い水準でクリアすることが求められる。

住友林業ホームテックの総力をあげて
実現した「完璧な提案」。

間取りに関するもっとも大きかったご要望は「二間続きの和室はそのまま残したい」というもの。近所の寄り合いや親戚の集まり、地域の伝統行事などに使いたいという理由からです。一方で、正方形の明るく広々としたLDKも欲しいということだったため、その二つをどうやって両立させていくかが間取りを考える上での大きなポイントでした。

「土間についていた玄関を西に移動させることができれば、土間と台所のスペースを使って正方形のLDK空間が実現できます。当初は柱の関係で移動は難しいと思っていたのですが、社内の専門部署に相談したところ、移動できるとの回答。そこから間取りについては比較的スムーズに進みました」と営業設計担当は語ります。

「また、デザインやインテリアについても質の高い提案が求められていました。要所要所で各分野のプロフェッショナルに協力を仰いだ結果、とても私一人では作れなかっただろう素晴らしいプランが出来上がったのです」

材料については「使える古材は最大限活かし、新たに採用する素材もできる限り自然のものにしたい」というご要望でした。そのため、『新旧のミックス』をデザインテーマに、黒光りする柱や梁、建具などの古材に、新たに張りなおす床や天井の無垢材、珪藻土の塗り壁が違和感なく溶け込む空間を追求。外観については、茅葺き屋根が持つ独特の勾配と、屋根の上の煙出しの印象を残すデザインを行いました。インテリア面でも、ダイニングに置くソファーについてはカーテン生地を使って特注するなど、プランは徹底的に作りこまれました。

この住友林業ホームテックの総力を結集したとも言える提案により、Hさんご夫婦はリフォームを決断。「古材を活かした新築」とご主人さまが評した大工事が始まりました。

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従来どおり南向きの二間続きで残された和室。障子や板戸などの建具も再利用しています。

数々の困難を乗り越えた先には、
お客さまの笑顔が待っていた。

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最新設備を導入しつつ、古材も巧みに利用したキッチン。梁を受ける「おかま柱」には火の神を祀っています。

結局、H邸の工事に要した期間は1年5ヶ月。リフォームとしては異例とも言える長期間の工事になりました。その原因は、200年という時間がもたらしたゆがみ。長年の風雪に耐えてきた古材はあちこちにゆがみが出ていたのです。元々、木が持つ自然な曲線が活かされている材ということもあり、新たに製材された直線的な材との取り合いは並大抵のことではありません。担当した大工の卓越した技術と相応の時間がなければクリアできない難問だったと営業設計担当は言います。

「お客さまからは、『一番腕のいい大工さんをつけて欲しい』と言われていたので、旧家が得意分野の大工さんをあらかじめ押さえておいたのです。その期待に応えてくれる素晴らしい仕事ぶりでした」

また、工事管理担当の仕事も見事だったと言います。「工事中には、もう覚えていないくらい無数のプラン変更が起きましたが、工事管理担当は『もっと良くするためにはどうしたらいいか』ということを常に考え、対応してくれました。現場が完璧な仕事をしてくれたからこそ、完成させることができた案件だと思います」

そんなH邸のリフォームは、ご主人さまが「何の不満もない」と言うほどの仕上がりになりました。引渡しの日、Hさんご夫妻が見せた満面の笑顔で、すべての苦労は報われたと営業設計担当は言います。

「リフォームの難易度としては限界に達しているような案件でしたし、大変なプレッシャーを感じながらの仕事でした。でも、やってよかったです。これからこのH邸はまた新しい歴史を刻んでいってくれるわけですから」――そう語る営業設計担当の目に浮かんだ涙が、このリフォームの意義と重みを物語っているのではないでしょうか。